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2021年06月20日 23:30
現在行われているEURO2020もそうだが、近年のサッカー界ではフィジカル自慢の活躍が目立つ。欧州サッカー界ではスピード、高さ、パワーを備えた身体能力の高い選手が幅を利かせており、プレイスピードも格段に速くなっている。それが現代サッカーのトレンドというものだが、その流れの中でファンタジスタと呼ばれるようなテクニシャンは減少傾向にある。かつては派手な足技で観衆を魅了するプレイヤーがいたが、今はそうした選手よりスピードのあるアタッカーが好まれやすい。攻守の切り替えが早いスピーディーなサッカーも楽しいが、観衆の度肝を抜く足技を披露してくれる選手が少なくなっていることは残念でもある。 英『The Guardian』によると、スペイン代表MFチアゴ・アルカンタラも現代フットボールの流れについて次のように語っている。「僕がサッカーを始めた頃よりも試合のペースは上がり、よりフィジカル的になっている。10番タイプの選手はほとんどいない。マジック、ファンタジーの要素は減っているね。フットボーラーはより速くなった。走力があるため、ドリブルも必要ない。あらゆる意味で選手たちは進化している」特にスペインの選手たちは変化を強く感じているかもしれない。シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、セスク・ファブレガス、チアゴのようなプレイヤーは減少傾向にあり、ゲームメイカーと呼ばれる選手たちの価値はやや低下していると言ってもいい。ファン・ロマン・リケルメ、アンドレア・ピルロのような1本のパスで局面を変えてしまう天才肌のパサーも少なくなっている。現代サッカーでは、スピードに難のあるプレイヤーが生き残りにくくなっているのだ。EURO2020も展開が早く、パワーとスピードで強引に局面を変えてしまうFWが目立つ。それも面白いが、ボールを持つたびに観衆をワクワクさせるトリックスターが減ってしまっているのは寂しいか。
2024年03月29日 19:42
京都サンガF.C.は3月29日、J1第5節で東京ヴェルディと敵地で対戦。22分に豊川雄太が先制点を挙げる。
開始3分に鋭い抜け出しからネットを揺らしていた豊川だが、その時はオフサイドの判定でノーゴールに。だが、次のビッグチャンスは確実にモノにした。
【動画】出ましたゴラッソ! 豊川雄太が胸トラップから右足一閃!
敵陣ペナルティエリア手前左でロングボールを胸トラップで収めると、迷わず右足を振り抜く。ほぼ無回転の強烈な一撃をゴール右上に突き刺した。
DAZNで実況を務める原大悟氏が「ゴラッソ!」と叫べば、解説の元日本代表DFの坪井慶介氏は「このシュートはとんでもないですね。見事なインパクト」と称賛。「サッカーをやっていたら、人生で一度は、ああいうシュートを決めてみたいなと思いますね」と感心した。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
2024年03月29日 18:52
元日本代表MFの小野伸二氏が3月29日、フジテレビ系列のバラエティー番組「ぽかぽか」に生出演。名前の由来を明かした。
まず家族構成について、「10人兄弟で上から数えると6番目。上が長女で、男の中だと五男」と明かし、出演者を驚かせた小野氏。なぜ「伸二」なのかを質問を受けると、こう答えている。
【画像】小野伸二、セルジオ越後、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開!
「だいたい周りの方から『次男なんだ?』と言われるんですけど、五男なんですよ。お母さんが(ウクレレ漫談家の)牧伸二さんが当時好きだったらしくて、そこから取ったらしいです」
この事実にスタジオから「へぇー」という驚きの声があがっていた。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
2024年03月29日 18:42
J1復帰を目ざす横浜FCで、新たな得点源として期待されていた森海渡だが、3節・山形戦で負傷。診断の結果は前十字靭帯損傷で、3月18日に手術を行ない、全治は経過観察後の判断になるという。
不測の事態にフロントの動きは早かった。浦和からFW郄橋利樹を期限付き移籍で獲得。四方田修平監督は、ニューカマーを次のように評する。
「一昨年のJ2、去年はJ1で浦和とやったなかで、選手としてはよく把握している。3バックで1トップのチームでもやってきている選手で、浦和のウイングとしてのタスクもこなしてはいるので、そういう意味では、うちのチームのやり方にも十分、順応していけるなと。彼の強さとか、ハードワークできるところとか、力になってもらえるのではないかと思います」
即戦力を迎え入れた一方、3−4−2−1を基本布陣とする横浜FCの1トップ候補で、指揮官は少なからず頭を悩ますかもしれない。
伊藤翔が直近2試合で計3ゴールと抜群の決定力を示せば、今季に加入した櫻川ソロモンは、6節・鹿児島戦で自ら奪ったPKを決め、待望の移籍後初ゴールをマークした。
調子が上向きの2人に加え、郄橋という実力者が加わった。四方田監督は「大変だなと思って。どうやって、この3人をマネジメントしていくか」と思案する。
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明確な力の差があれば、それほど悩みはしないだろう。四方田監督も「これしかないと決められるほうが楽。核、その次、若手ぐらいで、はっきりしていれば」と吐露する。だが、実際は違う。三者三様でタイプは異なるものの、良い意味で序列はフラットだ。
対戦相手や試合展開に応じて、起用方法は変わってくるだろう。「翔と、ソロモンと、利樹の3人の構図がどうなっていくのか分からないですけど」と指揮官は現状を見ているなかで、「やっぱり、動きが良い選手、結果を出した選手を評価するのが一番」と語る。
次節はホームで仙台を迎え撃つ。横浜FCと同じく、ここまでの総失点はリーグ最少タイ「2」と堅守を誇る相手に、四方田監督がどんな采配を見せるか注目だ。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
2024年03月29日 18:40
今月13日、ラツィオを指揮していたマウリツィオ・サッリが辞任を表明した。
2024年03月29日 18:40
U-23日本代表は4月、パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップに挑む。
大岩ジャパンは今月、最終予選前最後の活動を国内で実施。U-23マリ代表戦には1−3で敗れたものの、続くU-23ウクライナ代表戦は2−0の勝利を収めた。
この活動前のメンバー発表会見で、A代表に名を連ね、所属クラブでも主力の久保建英(レアル・ソシエダ)、鈴木彩艶(シント=トロイデン)が招集外の理由を問われた大岩剛監督は、「ハードルは簡単ではない。クラブとの交渉が成立しないとだめで、貸し出してもらえない」と語っていた。
2人に加えて鈴木唯人(ブレンビー)、小田裕太郎(ハーツ)らこれまでチームの主軸だった選手がメンバー外だったことからも、U-23アジア杯でも自クラブで主力級の欧州組の招集は難しいとみられる。
そのため、今回の2連戦のメンバー26人をベースに、大岩監督が選ぶアジア最終予選の23人を予想した。
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GKは小久保玲央ブライアン、野澤大志ブランドン、藤田和輝の3人。藤田は今回の2連戦に出場できておらず、変更があるとすればここか。これまで招集されていた柏レイソルの佐々木雅士らも最終予選前の自クラブでの活躍次第で、メンバー入りの可能性があるかもしれない。
CBコンビは、ウクライナ戦で無失点に抑え、安定感があった馬場晴也と鈴木海音は堅い。バックアッパーには西尾隆矢に加え、3月の活動では招集外だった、シュツットガルトのセカンドチームでプレーするチェイス・アンリも選んだ。
今回、19歳ながら飛び級で招集された高井幸大は、出場したマリ戦で安定したプレーを見せるも、3失点と守備者としては満足のいかない結果に。187センチの長身で強靭なフィジカルを誇り、屈強な海外選手を相手に戦っている大型CBチェイス・アンリに入れ替えると見立てた。
SBは今回の活動で上々のパフォーマンスだった半田陸、バングーナガンデ佳史扶がファーストチョイス。右のもう一枚はウクライナ戦に先発し、逆サイドへの展開や攻撃の起点となる縦パスを供給するなど、積極的だった関根大輝か。
また左SBはウクライナ戦に出場した大畑歩夢ではなく、本来は右だが、左もこなせる万能性が魅力の内野貴史でカバーすると推測した。
中盤6枚は3月シリーズと同じか。アンカーは、チームのバランサー・藤田譲瑠チマと、献身性が武器の川崎颯太。インサイドハーフの山本理仁と松木玖生は、ともに今回の2連戦で中盤の潤滑油的存在となり、中盤でのボール奪取など、闘争心溢れるプレーは頼もしかった。ウクライナ戦で追加点の田中聡、2年ぶりの招集で存在感を示した荒木遼太郎も入るだろう。
左ウイングには佐藤恵允と、2連戦では鋭いカットインからのフィニッシュなど、圧巻の仕掛けで目立っていた平河悠。右ウイングの山田楓喜は、セットプレーのキッカーとしてもチームの武器となり得る。
CFも細谷真大、藤尾翔太、染野唯月の3枚で変わらず。一番手はエースとしてこの世代を引っ張ってきた細谷で、得点力があり右ウイングもできる藤尾、マリ戦では途中出場で、冷静なボール捌きとプレスバックでチームに流れを引き戻した染野が入ると予想した。
なお、2試合ともに途中出場だった小見洋太は、サイドから果敢にシュートを狙ったが、相手のチェックを受けるとパスが乱れるシーンも。植中朝日は、先発したマリ戦でなかなかボールを収められなかった。3月シリーズで大きなインパクトを残せたとは言えないこの2人は、選外と予想した。
文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)
2024年03月29日 18:24
世界最高と呼ばれるプレミアリーグはシーズン終盤に差し掛かり、勝ち点1差に3チームがひしめく史上最も白熱した優勝争いが繰り広げられている。
今週の日曜日には、現在3位のマンチェスター・シティが首位アーセナルをホームに迎える大一番を控えており、全く目が離せないタイトルレースとなっているが、果たしてどのチームが有利なのか見てみよう。
[写真]=Getty Images
■首位はアーセナルだが…
残り10試合を迎え、アーセナルとリヴァプールが勝ち点64で並び、その2チームをシティが1ポイント差で追う展開となっている。得失点差の関係上、アーセナル(+46)がリヴァプール(+39)を抑えて首位に立っているが、アーセナルが優位というわけではないようだ。
各チームの残り10試合の難易度を見ると、アーセナルの試合が最も難しそうだ。ロンドンのサッカーメディア『football.london』は各試合の難易度を5段階で評価しており、その集計で最も難しいゲームを控えているのがアーセナルだ。まずは、今月31日の敵地でのシティ戦だが、これは最も難しい「難易度5」。その他にも敵地でのトッテナム戦やマンチェスター・ユナテッド戦といった「難易度4」の試合も残しており、10試合の合計難易度は「30」だという。
一方、2位のリヴァプールは難易度5の試合が1つもなく、敵地でのユナイテッド戦とアストン・ヴィラ戦という難易度4の試合が2つあるだけで、合計難易度は「27」。3位シティは、アーセナル戦が難易度5だが、他に難しいのは敵地でのスパーズ戦(難易度4)くらいで合計難易度は「28」。そのため残り試合のカードを考えると、リヴァプールとシティが優位と見られている。
実際にアーセナルはシティとのアウェイゲームは8連敗中(カップ戦を含め)。最後に敵地でシティに勝ったのは9年前の2015年1月。65パーセントの支配率を許しながら、粘り強い守備で2−0の勝利を収めて以降、エティハド・スタジアムでは一度も勝てていないのだ。そもそもアーセナルはホームゲームも含め、プレミアでのシティ戦は最近13試合で1勝12敗と散々な成績。唯一の勝利が86分にFWガブリエウ・マルティネッリが決勝点を決めた今季10月の対戦なのだ。そのため、今回のエティハド・スタジアムでの一戦もホームのシティが圧倒的に有利と見られており、データ会社『Opta』のスーパーコンピューターによると、シティの勝利確率が53パーセントなのに対してアーセナルは20%となっている。
現時点での優勝の確率を見ると、プレミア3連覇中のシティが本命視されており「43.5%」。一方でリヴァプールは「35.3%」、アーセナルに至っては「21.2%」と不利な状況にある。さらにアーセナルは、もし今週末のシティに敗れてしまうと、優勝確率が「9%」まで減少すると『Opta』は予想している。
同じようにデータを取り扱う『Gracenote』も優勝争いはシティとリヴァプールの一騎打ちと見ており、残り試合について「アーセナルは10試合のうち6試合がトップ10との対戦。さらに、そのうち5試合がアウェイゲーム」と指摘する。彼らの予想によると、最終成績はシティとリヴァプールが勝ち点86で並び、アーセナルは83ポイントに留まって20年ぶりのリーグ制覇を逃すという。いずれにせよ、アーセナルにとっては今週末のシティ戦が正念場となりそうだ。
ちなみに英国ブックメーカー『William Hill』の優勝オッズを見ても、シティが2.1倍、リヴァプールが3倍、アーセナルが3.75倍となっており、やはりシティが本命視されている。
■1ポイント差に3チームって…
そもそも、1992年に発足したプレミアリーグにおいて、第28節を終えた時点で1ポイント差に3チームがひしめく優勝争いは史上初なのか? 実は、そういうわけではない。例えばアーセナルが最終的に頂点に立った2001−02シーズンは、第28節以上を消化した3月2日にユナイテッド(57ポイント)、アーセナル(57)、リヴァプール(56)の3チームが1ポイント差の中にいた。2013−14シーズンなどは、シーズン終盤の5月4日の時点でシティ(80)、リヴァプール(80)、チェルシー(79)が1ポイント差の三つ巴を繰り広げていた。だが、いずれのケースも試合消化数に差異があり、「残り試合数も同じ」という条件を加えると、今シーズンはプレミア史上最も熾烈な優勝争いと呼ぶことができるだろう。
ちなみに2013−14シーズンは、残り3試合でリヴァプールが2位以下に5ポイント差をつけて首位に立っていたが、2位チェルシーとの大一番でスティーヴン・ジェラードが足を滑らせて失点を喫して差を詰められると、第37節のクリスタル・パレス戦では3−0のリードから追いつかれてしまい首位陥落。最終的にシティが頂点に立っており、やはり3つ巴のタイトルレースは最後まで何が起こるか分からないようだ。
■解説者たちの見解は…
あまりにも熾烈な優勝争いのため解説者たちも頭を悩ませている。元ユナイテッドのロイ・キーン氏も『Sky Sports』にて優勝予想は「決められない」と漏らした。「昨シーズンは最終的にシティが勝つと確信していた。今季も数週間前までシティが優勝すると思っていたが、少し怪しく感じてきた。リヴァプールが毎試合のように良いプレーでチャンスを作ってゴールを決め続けているからね。アーセナルも昨季と比べてフィジカル面が強化されたので、昨年のように失速することはないだろう。今季はどこが優勝するか決められない」
元リヴァプールのジェイミー・カラガー氏は、3連覇の実績を持つシティを警戒しながらも最後まで分からないと述べる。「首位はアーセナルだが、リヴァプールからすると彼らがシティに勝つか引き分けてくれる方がありがたい。シティはシーズン最後の5試合を見ると全勝しそうだ。だからシティが、これからの3、4試合で勝ち点を落とさなければ、彼らを止めるのは難しい。チャンピオンズリーグでは、アーセナルとシティが勝ち上がれば準決勝で当たることになり、かなり消耗するはずだ。だから、いま見えていることだけでなく、もっともっと何かが起こるだろう」
元リヴァプールのマイケル・オーウェン氏は「心情的にはリヴァプール」だが「理性的にはシティが今でもプレミア最強なのでシティが優勝すると思う」とリーグ公式HPで語っている。反対に元シティのネダム・オヌオハ氏は「シティに優勝して貰いたいが、今年はリヴァプールだと思う。監督が今季いっぱいで退任するなど、彼らは優勝する運命にあると思う」と話す。トッテナムでのプレー経験を持つ元イングランド代表FWダレン・ベント氏は「昨年の同時期は怪我で選手を失ったが今は選手層も厚い。経験も積んだのでアーセナルが優勝すると思う」と主張する。
結局、12名の元選手たちの見解によると、シティの優勝予想が「6票」、リヴァプールは「4票」、アーセナルは「2票」ということで、前人未到のリーグ4連覇を目指すシティがやはり優位と見られているようだ!
2024年03月29日 18:19
2024年、川崎からMLSのロサンゼルス・ギャラクシーへの移籍を決めたのが、日本代表としてカタール・ワールドカップにも出場した右SBの山根視来である。30歳での初の海外挑戦。その姿を追ったインタビューを3回に分けてお届けしよう。
――◆――◆――
山根の手もとには誰にも見せないメモ帳がある。
迷った時、頭を整理したい時、彼はその時々の想いや、かけられた言葉を綴ってきた。それは今回の移籍に向けても同様だった。
川崎のチームメイトたちにどんな言葉をかけられたのか? そう質問をすると、「一回、メモ帳を見返しても良いですか?」と丁寧に当時の記憶と言葉の数々を振り返っていく。「絶対に見せないですよ」。その中身は門外不出なのだという。
「先ほども話しましたが、ACLは自分にとってすごく大きなウェイトを占めていたので、迷った部分でした。でも考えてみると新しい挑戦に傾いている自分がいた。
ただ、決めるまでの間にいろんな人と話をしながら、その都度思ったことを客観視できるようにメモ帳に書いていったんです。やっぱりその時の感情で、視野が狭くなってしまうことがあるので、起こった出来事、その時に何を感じたか、海外に行っている自分をイメージした時の気持ち、誰かに言われてどういう風に思ったかなど、バーッと書いていきました。
いろんな言葉をかけてもらい、残ろうかなと考えた時もありました。でもメモを客観的に見返すと、新たな環境に進みたがっている自分がいるのが分かったんです。
川崎のチームメイトでは、皆さんが想像している人には、ほぼ相談したと思います。そのなかで一番印象に残っているのは、やはりアキさん(家長昭博)の存在でした。アキさんとは特別深い話をする仲ではなかったのですが、僕のアキさんへの信頼度はそりゃ相当ですし、(右SBと右ウイングとして)試合中は一番近くにいて、一番多く一緒に出場したはずです。
アキさんがいたからここまで来られたし、僕がもっとアキさんの要求するレベルに応えることができていたら、どれだけワクワクする攻撃が右サイドからできるのだろうと常にモチベーションにもなっていました。
そんなアキさんが、「残ってほしい」とかではないですよ、以前に僕のことを評価してくれていたと。「お前の話をしていたよ」と他の人から教えてもらったんです。それって直接言われるよりも嬉しいんですよね。なんだか心が震えて揺さぶられました」
【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開!
さらに兄貴分の小林悠にはいち早く相談に乗ってもらい、様々なアドバイスや「お前がいなくなったら友だちがいなくなっちゃうよ」と冗談交じりの引き留めもしてもらった。脇坂泰斗、登里享平、瀬川祐輔...多くの仲間たちと語り合った。
そのなかで共通して送られた言葉があったという。それは山根が多くの汗と涙を流しながら進んできた道を称えてくれる、何よりの誉れだった。
「みんなサッカーの技術のところは一切褒めてくれないんですよ(笑)。でも自分のサッカーに臨む姿勢をみんな褒めてくれた。うん...、そこはやっぱり嬉しかったですね」
大先輩の中村憲剛からはこんな言葉をもらった。
「あなたを見て学んだことはたくさんあったし、自分が今後、指導者をしていくうえで、ミキのような選手がこうやって成長していった姿はすごく指標になる」
そして常に間近で自分の努力を認めてくれていた鬼木達監督に、報告をした際には涙が溢れてきた。技術力が求められる川崎で、テクニックがあったわけではない自分を起用し続けてくれ、サッカーや練習に対する真摯な姿勢を誰よりも理解してくれた恩師であった。
「本当にオニさんには感謝しかなくて。ボロボロ泣きました。改めて一緒に天皇杯を優勝できて良かったなという想いが込み上げてきて」
多くの人の支えや、自分の進んでききた道は間違いではなかったと改めて認識ながら――そんな晴れやかな想いを抱え、山根は勇気を持って新たな一歩を踏み出したのである。
エンターテインメントの国、アメリカではやはり日本との違いを、至るところで感じるという。例えばキャンプでのワンシーン。
「いろんなことが面白いですよね。キャンプでは夕食のあとに、選手のストレスを発散させるような時間をクラブが設けてくれるんです。それこそ『アタック25』みたいに2つのチームに分かれて、それぞれ代表者が回答していくクイズ大会もあって、僕も言葉が分からないなかで楽しみました。
マジックショーも見ましたし、最初の頃は『練習で疲れているし部屋に帰って休ませてくれよ』と思っていたんですが(笑)、やってみるとすごく楽しい。さすがエンターテインメントの国だなと、節々に感じています。
食事は練習日は朝と昼、クラブが出してくれて、僕は今まで朝ご飯は、白米と魚、納豆、卵など日本食と決めていたのですが、クラブの食事だとお米はないので、オートミールを初めて食べたりと、欧米の食事に合わせるようにしています。
でもオートミールの食べ方を知らなくて(笑)。お米と同じようなものだと思っていて、スクランブルエッグをおかずのようにして食べていたら、(吉田)麻也くんに『それグラノーラみたいなやつだぞ、フルーツ乗っけて食べるんだぞ』と笑われて。いろんなことが勉強ですね」
さらに周囲には知っている英単語をフル活用し、積極的に話しかけるようにしているという。
「数少ない単語で勝負しています。それでも、みんな分かろうとしてくれて。多分メチャクチャ間違えていると思うんです。でも果敢に攻めています。物怖じしちゃいけないとは聞いていたので、いろんなスポーツのことだとか、それこそキャンプ地がラスベガスに近くてスーパーボールが開催されていたので、そういう話だとか。みんなノリが良いのでなんとかなるのかなと感じていますね」
充実ぶりが窺える日々。もっとも、改めて疑問に思っていたことも聞いてみた。「欧州ではなくMLSへ移籍することに抵抗はなかったのか?」。その問いに山根は自信を持って答えてくれた。
「移籍する前のMLSのイメージはすごくフィジカル寄りのリーグなんだろうなというものでした。麻也くんにどういう感じか訊くこともできていました。
正直に言うと、去年、僕はACLを戦うのが一番楽しくて、最も『サッカーをやっているな』と感じることができたんです。アウェーでの難しさ、観客席から飛んでくる厳しい野次やジェスチャー、そして対面する大きくて、速くて、強い相手。MLSに飛び込めば、その環境を日々、体験できるという想いがありました。だから僕は欧州が良かったなどとは、あまり思ってないんです」
ただし、渡米後、当初はプレー面で難しさも感じたという。そんな時に背中を押してくれたのが川崎での経験だった。
「外国人のなかで、日本人が入ってやる難しさは、実際に体験してみないと分からないと思うんです。それこそ日本代表として外国人と戦う舞台とはまた違って、自分が得意なプレーをとにかく出そうとする選手が多かったりする。
日本人だったらつながりを意識しながらやりますが、『いや俺はこういう選手だから』と、自分の特長を出すことに集中している選手と一緒にやっていくなかで、『恐らくこうしてくれるよね』と期待すると、自分の思ったようには動いてくれないシチュエーションに直面して難しさを感じてしまう。
そのうえ、身体の大きな選手が目の前に来たり、日本では引っかからないようなパスを長い足で当てられたりと、選手ひとりとして何ができるのかを、すごく試されているなと感じました。
そんな時、キャンプの途中に、フロンターレのACLの試合があって(ACLラウンド16のアウェー・山東泰山戦/○3−2。ただ1週間後のホームでの一戦で川崎は敗れて敗退となった)、久々に天皇杯決勝のハイライトも見ていたら、改めて心にくるものがあったんです。こっちきて難しさを感じているなかで、ACLのアウェーの試合を含めて身体を張って、勝ちにこだわる、すでに真剣勝負のなかにいるフロンターレの選手たちの姿を目にして、『俺は何をしているんだ』と。もっとやらなくちゃいけないと決意してから、良いプレーを出せるようになりました。
それこそ最初のうちは『ああしてほしい、こうしてほしい』と考えていましたが、味方がどういうプレーをするかまだ分からない部分があるなかで、気を使って味方を見ることに時間をかけると、どんどん自分のリズムが狂ってしまう。
そこを『もう良いや、めちゃくちゃ要求してやろう』と意識を変え、好きなように動き、自分が欲しいところで受け、意図を見方にちゃんと伝えるようにしたら、キャンプのラスト数日や、最後の練習試合は自分のなかで良いプレーができたんです」
リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバらを率いるインテル・マイアミとの開幕戦のピッチには、背番号2の姿があった。そこから山根は5試合連続でフル出場を果たしている。
チームも元バルセロナのMFリキ・プッチらを軸に2勝3分とまずまの成績を残している。それでも自らに厳しい男だ。求めるのはさらなる高みなのだろう。
「ここで活躍できれば、フロンターレの時とまた違う選手に、バージョンアップできると信じています。すごく楽しみですし、ひとりの選手として試されている。いろんなタイプの対戦相手に、様々な守り方ができるようになりたいです。プラス人間として、いろんな国籍の人たちがいるなかで、学んでいきたい。人間としての“深み”を持てるようになりたいですね」
そしてもうひとつ、伝えたいメッセージも生まれた。
「僕が言いたいのは、自分のことではなく、MLSというリーグに対して、より関心を持ってもらえればということですね。それは見てくれる人たちもそうですし、現役の選手たちには特にこのリーグでプレーをする選択肢を頭の片隅に入れておいてほしいなと思います。
Jリーグでも、欧州移籍が当たり前になってきた今、“いかに早く行けるか”がポイントになっていると感じます。ただ、高卒3、4年目にJリーグで活躍し、23、24歳で欧州に渡る形では、遅いと言われる時代になってきているのかもしれません。そのなかで、ワンステップ、MLSを挟むというのもありなんじゃないかなと、個人的には考えています。
日本人選手のクオリティの高さはこっちに来ても感じます。技術力が高く、いろんなことができる。MLSでは重宝されるはずですし、英語圏で言語も学べますし、本当に多くの国籍の選手がプレーをしているからこそ、様々な文化を知ることができる。
クラブの環境も整っているからこそ、実力も発揮しやすいはず。そういう面でも海外での第一歩目としてもすごく良いリーグなのかなと。現にMLSから欧州に行く選手も多いですし、欧州からはJリーグより注目されているようにも感じます。だからこそ若い選手にとってはありなのかなと。
サラリーキャップ制度(年俸総額の上限制度)があるなかで、各クラブはできるだけ金額を抑えながら良い選手を獲ろうとしていて、そうした基準に日本の選手はマッチしているはずです。そうやって道が増えれば、日本人選手の可能性は改めて広がるのかなと。
だからこそ麻也くんとも、僕らがMLSの良さを伝えていこうという話をしているんです。あまり言いすぎると日本のサポーターの方たちに怒られちゃいますが(苦笑)、日本サッカーの発展のためにも、考えていくべきなのかなと」
そのなかで30歳となった自身は代表復帰や、欧州へのステップアップという野望を抱いていないのか。そんなこちらの意図はやんわり否定する。
「サッカー選手である以上、日本代表は常に意識するものです。僕の頭のなかにも、もちろん入っています。でも今はそこを明確な目標にしているわけではなく、まずは目の前のこと。まだここで何も成し遂げていないですから。それに僕の場合、先ばかりを目指しても良いことはないんですよ。計画通りにいつもいかないので(笑)。一歩一歩。目の前のことに全力を傾ける。そこですね」
それこそが山根視来の生きる道。川崎で称賛され続けた姿勢なのだろう。
インタビューの数日後、山根のもとには川崎のサポーターたちから数多くのメッセージが寄せられた等身大のタペストリーが届いた。背中を押してくれる人たちがこんなにもいる。異国の地で彼はこれからもピッチを走り続け、闘い続けるはずである。
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■プロフィール
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178・72。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
2024年03月29日 18:00
プレミアリーグも終盤に差し掛かっている中、現在首位はアーセナル。
2024年03月29日 18:00
欧州リーグも佳境を迎えつつある中、欧州王者の決めるチャンピオンズリーグ(CL)もベスト8が決定。いよいよ4月9日からは4強の座をかけた戦いが始まる。
その一角に名を連ねているのがドイツのドルトムントだ。準々決勝に残った8チームのうち、アーセナルを除く7チームにはドルトムント出身選手が在籍。近年では、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(現マンチェスター・シティ)やイングランド代表MFジュード・ベリンガム(現レアル・マドリード)といったホープが欧州のメガクラブに引き抜かれるなど、有望な若手の発掘・育成にも定評がある。
かつてはMF香川真司(セレッソ大阪)が所属し、ユルゲン・クロップ監督(現リヴァプール)の元で飛躍を遂げるなど、日本人にとっても馴染みの深いドルトムントから、アジア太平洋担当総裁のジュリア・ファーと、東アジア担当総裁のベンジャミン・ウォールが来日。CL8強が決まった直後ということもあり、笑顔の絶えない両氏にドルトムントが考えるアジアの市場や、今後の展望などについて話を聞いた。
■ハーランド、ベリンガム…有望な若手を輩出する土壌
──嬉しそうですね(笑)
ベンジャミン:ふたりともニコニコしているのは、チャンピオンズリーグのベスト8に入ってクラブ全体が興奮状態にあるということです(笑)。
──早速ですが自己紹介をお願いできますか?
ベンジャミン:私はベンジャミンです。東アジアの責任者で日本、韓国、中国を担当しています。隣にいるジュリアはアジア太平洋の責任者で、オーストラリアから東南アジアまでを統括しています。先週にはニューヨークにもオフィスをオープンし、海外では上海とシンガポール、そしてニューヨークに拠点を構えています。
──これまではどのようなことをやってきたのでしょうか?
ベンジャミン:10年間ほどレヴァークーゼンで働いていて、7年ほど前にドルトムントがアジアに進出したいということで今のボスに誘われました。中国でオフィスを開きたいので参画しないかと声をかけていただき、私を含め家族全員がドルトムントのファンだったので、迷わずに決断しました。そして、2017年から上海オフィスの責任者を務めています。
──世界的にも、そして日本でも有名ではありますが、あらためてボルシア・ドルトムントがどのようなクラブなのか教えてください
ベンジャミン:ドルトムントは、ドイツ国内ではインパクトのあるクラブです。スタジアムも大きく8万人以上が入りますし、常にソールドアウトしています。どこも黄色と黒色で有名だと思いますが、国内ではすでにある程度の存在感があります。国内でこれ以上、市場を大きくするのは難しいので、世界中にいるファンにリーチするためにも国際化を目指していかないといけないと考えています。
ジュリア:ドルトムントの特徴のひとつに、若い選手にチャンスを与えるという部分があります。高いお金で有名な選手を獲得するだけでなく、若い選手にチャンスを与えながらスーパースターに育てていく。ジェイドン・サンチョ(マンチェスター・ユナイテッドからレンタルで復帰中)やアーリング・ハーランド、ジュード・ベリンガムなど、誰もが知っている選手たちもドルトムントの出身です。そして私たちには、サッカーファミリーの一員、コミュニティの一員という考え方があることもドルトムントの特徴のひとつだと思っています。
──若く優秀な選手を次々に輩出している要因はどこにあるのでしょう?
ベンジャミン:ドルトムントは20年ほど前に破綻しそうになった時期がありました。その時に気づいたのは、お金で選手を買うばかりではなく、育てていかないといけないということ。17〜20年前から若い選手を育てるという方針に舵をとりました。そこから20年近くやってきたことで、その実績が出てきている。世界中にたくさんの良いスカウトがいます。どうやって有望な選手を連れてくるのかというと、ドルトムントのようなクラブでプレーできて、チャンピオンズリーグのような大きな舞台にも立てるということは、若い選手たちも認識しています。そのため、選手たちもドルトムントでプレーしたいと考えることがひとつ大きな要因ではないかと思っています。
■アジアのファンとより近い距離で
──2022年には東南アジアでもツアーを行いましたが、アジアという市場をどのように考えていますか?
ベンジャミン:一番最初のきっかけはシンジ(香川真司)です。それまでは、“ドイツのクラブとして”という考え方が強かった。シンジがプレーするようになって、アジアにこれほど多くのファンがいるのかということに気づいて、そこからもっとファンに近づかないといけないということで、2014年にシンガポールのオフィスを立ち上げました。
プレミアリーグのクラブと少し違うのは、私たちがファンとより近い関係でいたいというのもありますが、クラブのロゴや選手の画像だけを貸してというよりも、コミュニティの一員でありたいという考えが根底にあります。アジア各地で定期的にパブリックビューイングのようなことやファンの集いをやったり、一緒に試合を見て一緒に歌うというところが、私たちと他のクラブとの少しの違いなのかなと思っています。
──では、アジアの市場における日本の位置付けは?
ベンジャミン:私たちにとっての日本は、重要なマーケットであり、これまでも色々な活動を行ってきました。ひとつは、ドルトムントサッカーアカデミーを数年前からやっていますが、すでに1000人近い子供たちが参加していて、ドルトムントのジャージを着て練習しています。それからシンジが在籍しているセレッソ大阪とも交流を続けていますし、ドイツ人学校にも私たちのスタッフを派遣して、そこでサッカーを教えたりもしています。我々にとっては関係が深く、重要なマーケットとなっています。
ジュリア:近年は日本人選手が所属していませんが、シンジが退団してからも日本のファンとの交流を続けていますし、スクールなどもやっています。日本には有望な選手がいることもわかっていますし、いつか次のシンジを見つけ出したいと思っています。それまではSNSなどを通じてファンとの関係性を続けていきたいと思っています。
■ジャパンツアーの可能性は!?
──今回の来日にはどのような目的があったのでしょうか?
ベンジャミン:もちろん、アカデミーやセレッソとの関係もあるので、日本現地のパートナーたちと会うことが大きな目的のひとつではあります。もうひとつは、私たちはドイツからではなく、上海、シンガポールという近い距離から来ていますし、けっこう頻繁に訪れています(笑)。常にどうやったらファンとの交流を深められるのかを考えていますし、近いうちにチームを日本に連れて来れないかといったことも模索しています。
──前回のジャパンツアーは2017年でした
ベンジャミン:2017年以来、日本には来ていないですし、私たちにとっても海外でのツアーはファンとの交流という意味では一番のツールだと考えています。近年、夏には必ずどこかにツアーしています。アメリカにも何回か行っていますし、来年のクラブワールドカップ(アメリカ開催)に出ることも決まっています。その先にはアメリカでのワールドカップもありますが、私たちとしてはアジアの担当ということもあり、チームを日本に連れてくることを視野に入れています。
──今後のアジアでの展望は?
ベンジャミン:クラブとしても色々な側面がありますけど、その中で重要な要素のひとつが育成です。どうやって若い選手を育てるのかには常に関心があります。私たちにとっても重要なことではあるので、それに関しては今後どうやってアジアでさらに広めることができるのかということは、クラブとしてやりたいことではあります。
ジュリア:クラブとしてはマーケティング要素があったり、育成やパートナーといったこともありますけど、その他にもCSR(企業の社会的責任)やサステナビリティ、女性の活躍にも力を入れていいます。ただ単にサッカークラブということではなく、総合的に色々なことにチャレンジし、貢献しているクラブとしても認識してもらいたいです。
──最後に日本のファンへメッセージをお願いします
ベンジャミン:まず、ファンの皆さんには応援してもらっていることにお礼を言いたいと思います。ボルシア・ドルトムントというクラブには常にドラマがあり、そのドラマに共感いただけていることに感謝しています。これからも応援をよろしくお願いいたします。
ジュリア:日本人選手がいてもいなくても、変わらず応援いただいていることに感謝の気持ちを表したいと思います。これからもよろしくお願いいたします。
取材・文=平野由倫
2024年03月29日 18:00
マンチェスター・ユナイテッドは今夏の移籍で、ユヴェントスに所属するブラジル代表DFグレイソン・ブレーメルを獲得したいと考えられている。
ユナイテッドは今夏のディフェンスラインの強化を図ることを計画しており、現在様々な選手の獲得を検討している中、ユヴェントスの守備の要ブレーメルをトップターゲットに挙げているようだ。
伊『La Gazzetta dello Sport』によると、ブレーメル獲得には6000万ユーロから7000万ユーロ(約98億円から114億円)が必要になる可能性があるようだが、ユナイテッドは現在ヘタフェにレンタル中のFWメイソン・グリーンウッドを含めた契約で価格を下げようと試みる可能性があるという。
グリーンウッドは今夏の去就が注目されている選手の1人であり、現在はユナイテッド復帰より完全移籍による退団が濃厚と考えられている。グリーンウッドにはバルセロナやアトレティコ・マドリードなど多くのビッグクラブが獲得を狙っていると噂されており、スペインで輝きを取り戻したレフティがチームに加わることはユヴェントスにとっても悪くない。
しかし、ブレーメルはユヴェントスのディフェンスラインの要であり、今シーズンは累積による出場停止となった1試合を除いてリーグ戦全てにスタメン出場を果たしている。ユナイテッドはブレーメル獲得に向けた動きを強めているようだが、移籍を実現させることはできるだろうか。
2024年03月29日 18:00
イタリア1部ジェノアCFCとキットサプライヤーのKappaは26日、今シーズンのフォースユニフォームを発表した。
90年代テイスト溢れる今回のデザインは、今から25年前のユニフォームを再現したものだ。Genoa 2023-24 Kappa Fourth
ジェノア 2023-24 Kappa フォース ユニフォーム
シーズン終盤に登場した今季第4のユニフォームは、昔のジェノアを知る人なら一瞬で懐かしさが甦るデザイン。あるいは昔を知らなくても、どことなくレトロな空気を感じ取れるかもしれない。
今回のデザインは、今から25年前にセリエBを戦った1999-2000シーズンのホームユニフォームを再現したもの。ほぼ“完コピ”と言っても差し支えないだろう。唯一足りないのは当時の胸スポンサー「FESTIVAL CROCIERE」のロゴマークくらいだ。
各部の差し色にはイエローを採用。襟部分にストライプを配し、袖はKappaロゴのOmini(オミニ)が連なるスタイル。袖口にもイエローを配し、99-00シーズンのアイコニックなユニフォームが現代に甦る。
ジェノアとKappaの両者はこれまでに3度、サプライヤー契約を結んでいる。最初は1998-99〜2000-01の3シーズン。2度目は2019-20〜2021-22までの3シーズン。そして3度目は2023-24シーズンからの現在の契約。合計すると7シーズンとなる。
これは決して長いわけではなく、同じイタリアのブランドErreaとの17シーズン(1988-1998、2001-08)の半分にも満たない。
しかも現在のパートナーシップは、ジェノアと英ブランドCastoreとのトラブルが原因による複数年契約の“打ち切り”によって生まれたもので、言わば想定外で結ばれた契約だ。
ただ、今季はジェノアにとってクラブ創設130周年という節目のシーズンということもあり、各ユニフォームのデザインへのKappaの力の入れ方には並々ならぬものを感じる。まるで復縁を喜んでいるかのようだ。
今回99-00モデルを復活させた理由は語られてないが、25周年というタイミングに加えて、近年ブロークコアなどで注目が高まっているレトロユニフォームのブームも後押ししたに違いない。
そんなフォースユニフォームのビジュアルには、使い捨てカメラや任天堂ゲームボーイといった90年代を感じさせる小道具も登場した。ビジュアル全体から90年代が溢れ出している。
あの時代はUMBROも素晴らしかった...プレミアリーグ「90年代最高のユニフォーム」5選
このフォースユニフォームは、30日にホームで行われるセリエA第30節フロジノーネ戦で選手が着用する予定。もちろんシャツにはスポンサーロゴが付く。
レプリカモデルは半袖・長袖がクラブ公式オンラインストア、Kappaオンラインストアで販売中。数量限定ということもあり、長袖は既に完売となっている。
2024年03月29日 17:49
セルティックは3月28日、今シーズンのクラブ年間最優秀選手のノミネートを明らかにした。
2024年03月29日 17:42
2024年、川崎からMLSのロサンゼルス・ギャラクシーへの移籍を決めたのが、日本代表としてカタール・ワールドカップにも出場した右SBの山根視来である。30歳での初の海外挑戦。その姿を追ったインタビューを3回に分けてお届けしよう。
――◆――◆――
山根は2022年の年末には夢であったカタール・ワールドカップ出場も果たしてみせた。ピッチに立ったのは先発したグループリーグ第2戦・コスタリカ戦での62分のみだったが、「自分のやりたいプレーも出せた一方、逆に経験が足りないなと思う場面もあった」と、躍進した日本代表の一員として貴重な経験を積んだのである。
そして迎えた、昨年の2023年シーズン。川崎での4年目とあって、慣れ親しんだ環境で落ち着いてスタートすることができた。しかし、これが山根のなかでは引っかかっていたという。
「ワールドカップという目標に突き進んで、その大きな大会が終わった時に、クラブに戻って新しいモチベーションを見つけてサッカーに取り組むなか、やっぱり川崎はすごく居心地が良かったんです。
キャンプもこういう感じでこうなっていくんだろうな、とイメージできてしまう自分がいた。そのなかでもちろん全力で取り組んでいましたし、より成長することを意識していました。ただ同時に環境はすごく大事だなと感じていました。
僕は選手には『同じ環境でやり続けられる選手』と『厳しい環境に行くことで新たにエネルギーを生み出していく選手』の2パターンがいると思っています。僕は明らかに後者だった。だからこそ、思い悩んでいたんです。
これはどちらが正解というわけではなく、現にフロンターレには長く在籍しても常にギラギラしている先輩たちがいて、自分もそういう人たちを見習っていけば、より成長していけるとの想いはありました。ただどこかで、スッキリしない自分もいた。もっとも移籍というのは自分がしたいと言ってできるものではない。だからこそ、まずは目の前のことに全力を尽くしていました」
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価値観は人それぞれであり、考え方が異なるのは当然である。ただ、共通しているのは“今の自分よりも成長したい”という想いだろう。山根の胸のなかでもその気持ちが膨らんでいったに違いない。
2023年シーズン、川崎はリーグ8位に甘んじたように厳しい1年を過ごした。その苦境において山根はあえて悪者になるかのように、チームメイトへ厳しい要求をし続けた。それは大好きなクラブへの彼なりの恩返しでもあったように映る。
「なぜか点がいっぱい入って勝つ試合もありましたが、とにかく失点が減らなかった。これってなぜだろうと考えると、やっぱり『日常が緩くなっているんだろうな』という考えに行き着いたんです。
トレーニングが始まるというタイミングでも、ワイワイしているのは良いと思うんです。僕もそうしたいタイプですから。でも緩んだ空気になってしまうのは絶対に違う。だから周りに厳しい声がけをすることもありましたし、意見がわざとぶつかるような話をしたり、いろんなアプローチをしていましたね」
山根の想いは、シーズン終盤に結実した。
リーグ戦でも復調傾向にあったチームは、年末に行なわれたACLのグループリーグを無敗で勝ち抜き、天皇杯では柏との決勝戦を制し、見事にトロフィーを掲げたのである。
天皇杯の優勝後、これまで見せたことのないような喜びようをサポーターの前で示す山根の姿があった。
この天皇杯決勝の前後で、山根のもとにはロサンゼルス・ギャラクシーからオファーが届いていたという。
「以前から興味を持ってもらっているとの話はいただいていて、それが正式なオファーになるかどうかは分からない状況でした。でも、もしかしたら天皇杯が最後になるかもしれないとの想いがありました。
だからこそ後悔しないようにPK練習も相当にやっていました。決勝戦がPK戦にもつれることは容易に想像できましたから。“俺が外して、チームが負けて、移籍します”は、絶対に違うだろと自分に言い聞かせていました。だから1、2か月間、ほぼ毎日のようにPK練習はやっていましたね。
それで実際に試合はPK戦になり、あれだけ練習したのに『俺は8番目か!!』と、後々、オニさんに冗談で言いましたが(笑)、いざ蹴るとなるとめちゃくちゃ緊張しました」
ネットを揺らしたあと、何度もガッツポーズを作り、サポーターへ両腕を突き上げた彼の姿が、脳裏に焼き付いている人は多いのではないか。その熱は周囲に確実に伝播していた。
最後は両GKがキッカーになるまでもつれた一戦を、川崎は根気強く、身体を張って手にしたのである。決して綺麗な形ではない。それでも想いの詰まった会心の勝利であった。
「フロンターレに来てからの優勝でダントツで嬉しかったですね。自分が移籍してきた時は圧倒的な優勝が続きましたし、駆け抜けた印象が強かったのですが、この天皇杯はみんなで一つひとつ勝ち進んで、リーグ戦では調子が悪かった分、『なんとしても』という想いがみんなからも、オニさんからも伝わってきていました。自分はそれに応えたかったですし、1年間、不甲斐ないプレーをしても使い続けてくれたオニさんと、絶対に優勝したかった」
山根のなかではひとつの区切りがついたという想いがあったのかもしれない。勝ち上がっているACLを2024年もともに戦いたいという、後ろ髪を引かれる気持ちもあったが、改めて当時の胸中を明かしてくれた。
「現状を変えたかったというのが一番にありました。もちろんACLを優勝したいという気持ちも強かったですし、それができるクラブだと思っていました。みんなでアジア王者になりたかった。そこは一番悩んだ点でした。
ただ、フロンターレでも去年、いろんな選手、スタッフが新しいチャレンジを決めたなかで、自分も刺激された面はありました。すごく居心地が良かったからこそ、逆にそれが自分にとっては良くない、と。何かを変えなくちゃいけない。想いはそこでしたね」
もっとも簡単に移籍を決断できたわけではない。そこにはチームメイトらとの会話、流した涙があった。
【PART3へ続く】
■プロフィール
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178・72。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
2024年03月29日 17:30
現在プレミアリーグで11位に沈んでいるチェルシーは今シーズンも苦戦しており、なかなか以前のような強さを取り戻せない状況が続いている。
そんななか、英『Football.London』は今シーズンのチェルシーでプレイ時間が300分を超えている選手に限定し、ここまでの出来を10点満点で評価している。その中で、唯一9点を獲得したのがイングランド代表MFコール・パルマーだ。
「これ以上ないくらい良い。今シーズンの最高の契約?現時点では、そうでないと反論するのは難しい。パルマーはブルーズの全コンペティションで13ゴール12アシストを含む25の直接ゴール貢献を記録している。またイングランド代表のデビュー戦は、驚くべきものだった。今、チェルシーで最も重要な選手。間違いない」
パルマーは今シーズン、マンチェスター・シティより加入したが、すでにチームの顔となる活躍を見せており、チェルシーの攻撃の中心を担う選手になった。シティ時代には得られなかった出場時間を確保したことで、同選手はその才能を存分に発揮しており、チェルシーのエースにまで上り詰めている。
パルマーの次に同メディアがいい評価をつけたのは、右サイドで抜群の存在感を見せているDFマロ・ギュストと今季のプレミアで9ゴールをマークしているFWニコラス・ジャクソンだ。この2人はパルマーの次に高い8点の評価を受けている。一方で最も評価が低い4点をつけられた選手は今シーズン、怪我に悩まされ、試合の大半に出場できていないDFリース・ジェイムズ、MFレスリー・ウゴチュク、FWクリストファー・エンクンクの3人となった。
2024年03月29日 17:19
2024年、川崎からMLSのロサンゼルス・ギャラクシーへの移籍を決めたのが、日本代表としてカタール・ワールドカップにも出場した右SBの山根視来である。30歳での初の海外挑戦。その姿を追ったインタビューを3回に分けてお届けしよう。
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大谷翔平の一挙手一投足に沸き、アリーナでは八村塁が眩いスポットライトを浴びる。
今、日本人の歓声が大きく増しているアメリカ・ロサンゼルス。夢の詰まったこの街で、またひとり、新たな男が壮大なチャレンジをスタートさせている。
山根視来、30歳。2020年に湘南から川崎に移籍して以降、数々のタイトルを手にし、2022年のカタール・ワールドカップ出場も果たした右SBである。
「お久しぶりです。こっちの生活ですか? 夜は暇でしょうがないんですよ(笑)。実際はそんなことないんでしょうが、夜出かけるのはやっぱり怖いじゃないですか。なんだかひとりで歩いているとゾクゾクするというか(苦笑)。だからひとりで英語の勉強をしていることが多いですかね」
MLSの開幕直前、山根は相変わらず裏表のない言葉でこちらを笑わせてくれる。ちなみに英語は自称「中学1年生レベル」。だからこそレッスンには精力的なんだとか。
「確認のテストのようなものもあって、今日も怒られないために、ちゃんと宿題をやって頑張って勉強しておいて良かったです。褒めてもらえました(笑)」
その笑顔はまるで新たな発見を手にした少年のようだ。
【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開!
取材に応じてくれた時点では、まだ家族は渡米しておらず、自身も家を探しながらホテル住まいをしている最中。それでも初の海外での生活は刺激の連続だという。
「昨日は引っ越しに向けてマットレスを買いに行ったんですが、どのマットレスが良いか伝えるにもすごく時間がかかってしまって。
2時間くらいして、やっと支払いにいけるぞとなったら、まだこっちの銀行のカードを持っていなくて、日本のカードでは支払いができないと(苦笑)。結局買えず、クラブのスタッフの人に『あとで払うから代わりに買ってほしい』とお願いしました。さすがに疲れましたが、真新しいことばかり。それにこっちの人はみんな優しくて、店の人もめちゃくちゃ時間がかかったのに『気にするな』と。周りの人に助けてもらっていますね」
さらに大きな存在もいる。日本代表に続き、チームメイトとなった吉田麻也である。
「こっちにきて約1か月ですが、すでに4、5回は麻也くんの家族と食事をさせてもらっていて、今日も自宅に誘ってもらい、ご馳走になってきたばかりなんですよ。本当にありがたいですね。
あの人以上に頼りになる日本人っていないんじゃないですかね。でも、だからこそミーティングなどでも、麻也くんになんでも聞かないように、できるだけ自分で意思疎通をできるように努力しています。ただ試合中にどうしても周りに伝えたいことがあると、麻也くんに助けてもらうようにしています。本当にいつもサポートしてくれるので、感謝してもし切れない存在ですね」
持ち前の積極性と、周囲のサポート受けながら、山根の新天地での挑戦は一歩ずつ進んでいるのである。
山根の川崎からロサンゼルス・ギャラクシーへの移籍が発表されたのは2024年になったばかりの1月6日。
日本ではあまり馴染みのないMLSへの挑戦。その背景には大きな葛藤があった。
ここで少し時計の針を戻そう。
2020年に湘南から川崎に加入した山根は、すぐさま4−3−3の右SBに定着し、前年はリーグ3連覇を逃したチームの快進撃の一端を担い、黄金期を仲間とともに築いた。当時の川崎にはそれこそ、三笘薫、旗手怜央、守田英正、田中碧、谷口彰悟ら今や日本代表の常連となったメンバーが顔を並べ、さらには中村憲剛、家長昭博、小林悠といった偉大な先輩たちの背中があった。
誰もが厳しい意見を出し合いながら高め合うグラウンドで山根も日々力を付け、2021年3月には27歳でA代表デビューを飾ることになる。
国際親善試合として組まれた横浜での日韓戦。山根が“持っている”のはこうした舞台で結果を残すからである。17分、右SBとしてスルスルと駆け上がった山根はエリア内でパスを受けると豪快なシュートでネット揺らす。その名を広く知らしめるには十分な一発だった。
もっともこのゲームが、川崎と日本代表という二足の草鞋を履く濃密で、何度も厳しい現実を突きつけられる日々の始まりでもあった。
「ここ数年、自分の実力とA代表でやらなくちゃいけないレベルと、すごくギャップは感じていました。自分のなかでバランスを崩すことがすごく多かったですね。代表の試合に行くと、本当に速くて、強くて、身体を当てても弾かれるとか、足が長いとか、そういう相手が基本で、それをJリーグに持ち帰って意識してプレーするようにしていました。
フロンターレと日本代表のふたつのチームで、守備のやり方や個人に求められるものの違いについては、自分の頭を混乱させることが多かったと思います。
それこそ無理に取りに行ってしまったり、自分のなかで駆け引きをして、本来ならやられないためにポジションを取らなくてはいけないところを、自分ひとりで奪うためのポジションを取ったり。いろんなことにチャレンジしてみましたが、それが上手くいく試合と、いかない試合の対比がすごくありました。代表に行くたびに、ひとりで奪い切る能力の高い選手の姿を見て、Jリーグに帰って、自分だけガーっとボールにいって穴をあけることも多々ありましたから」
それでも、そんな山根の姿勢を川崎の鬼木達監督は認めてくれた。
「オニさんに、その奪いにいくプレーを否定されたことは一度もないです。それこそ『ドンドン行って良いし、それがミキの魅力だから』といつも声をかけてもらっていました。そこは本当にありがたかったですね」
誤解を招かないように山根も「Jリーグだからダメだとは自分も思っていません」と強調する。「(Jリーグでも)できる選手はできるし、日常にしていくことが大切」と続けるように、現にチームメイトだったCB谷口彰悟は、川崎所属として出場したカタール・ワールドカップで、世界の一線級の選手たちと堂々に渡り合ってみせた。
それでも山根の胸のなかには消化し切れないある想いが広がっていったのである。
【PART2へ続く】
■プロフィール
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178・72。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)