2022年12月02日 05:00
阪神・佐藤輝明内野手(23)が1日、西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4300万増の8500万円でサインした。2年目オフでは、14年・藤浪と並ぶ球団史上最高額に到達。「スター選手」への階段を上るために、来季は30発以上、100打点を目標に設定した。今年はヤクルト・村上の“村神様”が流行語大賞となったが、来年は自身のバットで“アレ”(優勝)を大賞にする。(金額は推定) 紺色のスーツにえんじ色のネクタイでバチッと決めた佐藤輝が、納得の表情で契約更改を終えた。2年目で初の全試合出場達成などが評価され「一発でサインさせていただきました!!」。倍増以上の昇給を勝ち取り、喜びが隠しきれない。 今季は打率・264、84打点、11盗塁など1年目から軒並み数字を上げた。本塁打は4本減って20本だったものの、ルーキーイヤーからの2年連続20発は阪神では69、70年の田淵幸一以来2人目の快挙だった。また、34本の適時打はセ・リーグトップ。108試合で4番を務め、ポイントゲッターとしての期待に応えた。 「勝利に結びつくような打点も増えたと思うので、それは去年に比べていい点ですね。全試合出られたところは良かったかなと思いますけど、まだまだ物足りないとは感じる。それは来年に向けて頑張っていきたい」 自らに限界は設定しない。来季はキャリアハイの成績を目指す。その一つに挙げたのが100打点だ。「打点も100というのはすごく大きな目標。そこに向かって頑張りたい」。岡田監督からは試合を決める「勝利打点」を求められ、本人も役割を理解している。 「まだまだ勝てる試合があったので、来年はそういう試合でもっと打てるように。競っている場面、負けている場面で逆転するような一打は、成績も印象も変わる。スター選手になっていくにはそういうところも必要なのかなと思っています」 本塁打が減少した一方、二塁打35本、三塁打8本と長打の数は多かった。ただ「あと一伸び、フェンス直撃みたいな打球がすごく多い気がして」と悔しがった。「あと何メートルか飛ばして、ホームランというのが理想。30本はまだいけていないのでいきたいです」と、23年は進化の跡を示す。 今季、歴代日本選手最多の56号を放ったヤクルト・村上の愛称「村神様」が流行語大賞に選ばれた。次はその座を阪神が奪う。「(狙うは)“アレ”でしょ。優勝したら絶対、流行語になるでしょ!!」。来年3月に24歳で年男となる佐藤輝が、球界の主役になる。
2024年04月19日 05:30
● タイガース 7−9 レンジャーズ ○
<現地時間4月18日 コメリカ・パーク>
デトロイト・タイガースが乱打戦に敗れ、4連戦カードを負け越し。前田健太投手(36)は6失点を喫し、今季最短の2回2/3で降板した。
今季4戦目の先発登板となった前田は初回、先頭打者セミエンに3号ソロを被弾。僅か3球で先制点を奪われた。2回表には先頭を四球で歩かせると、続くラングフォードに適時二塁打、ハイムに3号2ランを浴び、序盤で4失点を喫した。
味方打線が2回裏に一挙4点を援護し、振出しに戻った3回表のマウンドへ上がった前田だったが、一死からガルシアにソロ本塁打を被弾。再びリードを許し、さらに走者を溜めると、内野手の野選で6点目を失いノックアウト。前田は2回2/3、63球を投げて7安打、3本塁打、2四球、2三振、6失点(自責5)という内容だった。
タイガースは4回裏にも3点差を追いつき、前田の黒星を帳消しにするも、終盤8,9回に続けて失点。8回表に投げた5番手シェルビー・ミラーが2戦連続の敗戦投手となった。レンジャーズとの4連戦を1勝3敗で負け越し、開幕5連勝で始まった今季は19試合を終え、10勝9敗となっている。
4戦目を終えた前田の成績は0勝1敗、防御率7.64。移籍後初勝利はまたしてもお預けとなった。うち3戦で初回に被本塁打を記録しており、立ち上がりが大きな課題となっている。
2024年04月19日 05:01
「ウエスタン、阪神2−3オリックス」(18日、鳴尾浜球場)
着実に、本来の姿へ近づいている。阪神のビーズリーが右肩コンディション不良から復帰後4試合目の実戦登板。工夫を凝らしながらスコアボードに0を並べた。
「ベストボールじゃなかった」と話した通り、初回先頭にはいきなりストレートの四球。それでも後続は3人で料理した。直球もスライダーも本調子ではなかったため、前半はフォーク、後半はカットボールを多投。四回は2死一、三塁のピンチを背負うも、元をカットボールで遊ゴロに仕留め、切り抜けた。
復帰後最長の5回を3安打無失点5奪三振。78球を投じ、「ちょっと最後は疲れてしまったんですけど、打者を打ち取っていく感覚がつかめた」とうなずいた。和田2軍監督は「あそこら辺のクラスになると、悪いなりにっていうところができている」と評価。
「9回を投げられるように。100球ぐらいは投げられたら」とビーズリー。今後もローテを回り、イニング、球数ともに増やしていく予定だ。現在、1軍ローテ投手に何かあった際の代役筆頭候補は門別だが、ビーズリーにももちろんチャンスはある。さらに状態を上げ、虎視眈々(たんたん)と昇格を狙う。
2024年04月19日 05:01
阪神・青柳晃洋投手(30)が18日、甲子園今季初登板となる19日・中日戦で、シーズン初勝利をつかむことを誓った。
3月29日の巨人との開幕戦(東京ド)から3戦連続でビジターでの先発となったが、いまだ初星を挙げられず。虎党の大声援を力に変えて、嫌な流れを断ち切りたい。「やっとホームで投げられるので、しっかり投げられるように。僕自身勝ってないので、ホームでまず1勝できたら」と勝利への渇望をにじませた。
2週連続で中日と対峙(たいじ)する。バンテリンドームでの前回12日は勝ち負けはつかなかったが、7回2失点とゲームメーク。「先週戦ってるバッターなので向こうも分かってると思いますけど、こっちも分かってる。先週よりいいピッチングができたら」と気合を込めた。
首位を走る立浪竜の好調ぶりを、「打線もいいですし、何よりピッチャーがいいので、ローゲームを勝ちきってる」と分析。「中田さんだったり細川だったり、点を取れるバッターがしっかりいる。一人一人丁寧に切っていくしかない」と対策を練っていた。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
3度目にともしたHランプが、劇勝への口火打となった。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
地鳴りのような大声援が止まらない。勝利への執念、粘りでつかんだサヨナラ勝利。阪神・森下が試合を振り出しに戻し、つないでつないで最高の舞台をお膳立てした。
開幕から20イニング無失点だった巨人・菅野を止めた。1点を追う八回。1死一、二塁の好機で打席を迎えた。「真っすぐのタイミングで行ってスライダーをうまく前でさばけた」と初球、外角寄りのスライダーに反応。鋭く振り抜かれた打球は三遊間を抜ける同点の適時打となった。
好投手から奪った値千金の1点。右腕との駆け引きは1打席目から始まっていた。「フォアボールを選べるからこそ、ヒットが出たり、相手が投げづらくなって、ちょっとボールが浮いてきたり。そういうところがあると思う」。1打席目はフルカウントから、2打席目はストレートの四球を選んだ。
光る勝負強さ。前日17日の同戦でも決勝2点二塁打を放っており、2夜連続の大仕事に球場の雰囲気がガラリと変わった。終盤で同点に追いつき、押せ押せムード。延長に突入した十回も頼れる若武者がスタンドのボルテージを高めた。
「1回も落ち込んでいる時はない。前を向いてやっている」
勝利だけを目指した猛虎。先頭の中野が左前打で出塁し、無死一塁で打席に向かった。カウント2−2から大勢が投じた外角157キロの直球を捉えると、打球は高く弾んで中前へ。一、三塁へと好機を広げ、佐藤輝のサヨナラ打へとつなげた。
まだ、お披露目期間だが、ウル虎の夏ユニホームはお気に入りだ。「いつもと違うユニホームだと、打っている率が高いのでこれからも頑張ります」と、着用した今カード3連戦では9打数5安打3打点で打率・556と好成績を残した。チームトップ11打点が光る。連覇へ向けてここから快進撃がスタートする。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
阪神は延長十回無死満塁から、佐藤輝明内野手の右前打で今季初のサヨナラ勝ちを収めた。チームは引き分けを挟んで今季初の3連勝、勝率5割に復帰した。阪神の岡田彰布監督は「ホント、いいところでずっと打ってる」とサヨナラ劇を呼んだ森下への信頼を明かした。以下、岡田監督との一問一答。
◇ ◇
−つないでサヨナラ。
「2桁安打がうれしいですね」
−佐藤輝が決めた。
「いやいや、もう中野出たところで森下ずっと良かったので、バントをさせるような選手じゃないんで、森下に賭けましたけどね。よく中野も(三塁に)走りましたよね」
−森下は八回に同点打。
「(中野の)バント失敗で嫌な感じだったですけど。ホント、いいところでずっと打ってる感じですね」
−西勇が好投した。
「前回も良かった。今日も勝ち星は付かなかったけど、ずっといいピッチングしてるんでね。前の回(打席が)回ってたらそのままいかすつもりだったんですけど、もう今日は西(勇)に賭けよって九回まで」
−19日の先発は青柳。
「そんな悪い内容じゃないんでね。先発ピッチャーは一つ勝ち星を付けるのが一番の薬だと思うので、何とか早いうちに点を取って青柳の勝ち星が付くようにね。今日でちょっと吹っ切れたかもわからないですね、打線も。明日からもっと打ってくれるでしょう」
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
阪神は延長十回無死満塁から、精彩を欠いていた佐藤輝明内野手の右前打で今季初のサヨナラ勝ちを収めた。チームは引き分けを挟んで今季初の3連勝、勝率5割に復帰した。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏は「投手の我慢とリードによる勝利」と指摘した。
◇ ◇
阪神としては、非常に大きい勝利になった。試合を決めた佐藤輝、2安打を放ち勝利に貢献した森下と、調子の上がらないクリーンアップが結果を残した延長でのサヨナラ勝ち。しかし、やはりバッテリーあっての5割復帰だったと強く感じる試合でもあった。
先発陣、リリーフ陣いずれもずっと安定しているからこそ、大きな得点力を望めずともこの位置にいられる。この日の西勇も、二回に先制点は許したが、以降は危なげない投球で試合を作った。
現状、投手陣が我慢するしかない試合は続く。打線がつながる日を待つしかない。しかもクリーンアップが不調であれば、相手投手はさらに気分が乗る。この日の菅野がそうだ。それ以上の我慢が阪神投手陣には必要で、それを西勇からの投手陣がやってのけた。
ただ、そこを引っ張った梅野のリードは大いに評価したい。自軍の得点力に自信がなければ通常は“守りのリード”で大きな失点を防ぎたくなる。ところが梅野は前日から『ここで行くの?』というタイミングでインコースを突くサインを何度も出した。つまり、リードで攻めた。見逃せない勝因だ。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
会見場で岡田スマイルがはじけた。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
打者には特権がある。何度凡退しても、1打席で勝利を引き寄せられる。今季初の1試合3三振と菅野に苦しめられていた阪神・佐藤輝明内野手(25)が延長十回無死満塁で、今季無失点の大勢からサヨナラの右前適時打。球団ワーストタイの10試合連続2得点以下でも勝った。勝率5割復帰で引き分けを挟んで今季初の3連勝。聖地が沸いた。
快音とともに、地鳴りのような歓声が響く。佐藤輝が決めた。虎党の視線を独り占めにし、うれしそうに一塁を駆ける。「いや〜、ちょっと寒かったです」。四方八方から歓喜の水を浴びせられ、誰にかけられたかも分からない。ビショビショにぬれながら、笑顔で跳びはねた。
同点の延長十回無死満塁。「回ってきたら、絶対に決めてやろうという気持ちで打席に入りました」。大勢にオール直球勝負で追い込まれた。カウント2−2。フォークも頭の片隅に置きながら「振り負けないようにいきました」。最後は155キロの内角真っすぐをジャストミート。「何とか抜けてくれて良かったです」。一、二塁間を破り、ベンチからナインが祝福の輪を作った。
プロ初のサヨナラ安打。昨年8月12日のヤクルト戦(京セラ)でのプロ初サヨナラ打は犠飛だった。「あれは人生で初めてのサヨナラだったと思うので、それはすごい…。だって、そんな一打で勝ったというのは、印象的ですね」。自らのバットで試合を終わらせる喜び。昨季の自身ベストゲームの一つに挙げるほどだった。
それだけに熱望していたのが甲子園でのサヨナラ打。「京セラもホームでしたけど、甲子園でまた打てたらと思いますね」。有言実行の劇打。自身初の聖地サヨナラ安打は今季のチーム初サヨナラ勝ちにつながった。
19日は球団OBのブラゼル氏が始球式で来場する。近大時代には1年時の練習用ユニホームが背番号「67」で“近大のブラゼル”と称されたこともある。「小さい時、見てました」。引き分けを挟み、今季初の3連勝。ブラッズを最高の流れでマウンドに上がらせることができる。
菅野の前には3打席連続三振。今季初の1試合3三振にもなった。「最後は打てたので、そこは良かったかな」。ひと振りで地獄から天国へと景色が変わる。「これをきっかけに」。自身へ言い聞かせるように話した。
チームは球団ワーストタイの10試合連続2得点以下。ただ、投手陣の奮闘で4勝4敗2分けと踏ん張っている。「野手陣がなかなか打てていない。これから、もっと打てるように頑張ります」。勝率5割復帰。首位・中日とも2・5ゲーム差に縮まった。この1勝が首位猛追の合図となる。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
今季初の1試合3三振と菅野に苦しめられていた阪神・佐藤輝明内野手(25)が延長十回無死満塁で、今季無失点の大勢からサヨナラの右前適時打を放った。
打率は1割台。確かにもがき苦しんでいる。それでも、準備は怠っていない。打てない原因は何か、どうすれば打てるようになるのか。開幕から必死に浮上のきっかけをつかもうとする姿があった。本拠地開幕カードの京セラドーム、はだしになって一人でバットを振った。
「思いついた時にやる感じですね。はだしの方が足の裏の感覚がつかみやすいというか。足の裏のどこに体重が乗ってるとかを意識しています」
甲子園では練習後にブルペンへ足を運ぶこともあった。「あそこであんまり振ったことはないですけど、ちょっと確認したいことがあって」。多くは語らなかったが、昨季まではやらなかったこと。自分で考え、ヒントを探っていた。
今季初の1試合3三振を喫した。でも、最後の最後で決めた。「感覚と相談しながら、最後は打てて良かったです」。試合の中での修正も、日々の試行錯誤のたまものだ。
2024年04月19日 05:01
「楽天0−7オリックス」(18日、楽天モバイルパーク)
楽天は打線が沈黙し2戦連続の零敗。20イニング連続無得点となり、借金は今季最多の4となった。今江監督は「打線としてしっかり考え直さないといけない」と厳しい表情。
オリックス・曽谷に対し伊藤裕をプロ初の4番に起用するなど、右打者を並べたが不発に終わった。「試行錯誤というか、いるメンバーでやっていくしかない」と語った。
2024年04月19日 05:01
巨人の高梨雄平投手(31)の出場選手登録日数が18日、7年に達して国内FA権の資格取得条件を満たした。
2024年04月19日 05:01
「楽天0−7オリックス」(18日、楽天モバイルパーク)
オリックスは今季最多の16安打をマークし、7得点で快勝だ。中嶋監督も「ちょっとつながってきているのかな」と安どの表情。3カード連続勝ち越しで5割復帰となり、日本ハムと並んでチームは3位に浮上した。
序盤、中盤は2死から集中力を発揮した。三回は2死一、三塁から西野が内から三塁適時内野安打で先制。「必死に走りました」と振り返ると、五回も2死三塁から西野が左前適時打を放ち「とにかく必死に打ちにいきました」と必死な思いが、バットに乗り移った。
2打席連続適時打の西野に負けじと、頓宮も同回に2点適時打。六回以降も若月、紅林、セデーニョに適時打が飛び出し、試合を優位に進めた。中川が「左大腿直筋の筋損傷」で戦列を離れたショックを吹き飛ばすような攻撃を展開した。
先制、中押し、ダメ押しと効果的な形で得点を重ねただけに、指揮官は「これをつなげていかなきゃいけないですよね。それが続かないと上には行けないと思うので」と強調。次カードは首位・ソフトバンク3連戦(ペイペイ)。勢いそのままに、福岡でもオリックス打線が火を噴く。
2024年04月19日 05:01
「阪神2−1巨人」(18日、甲子園球場)
地響きのような歓声が響く試合後のロッカー裏。巨人・阿部監督は揺れる胸中を包み隠さず言葉にした。今季2度目のサヨナラ負けで、今カードは1分け2敗。2度の延長戦に「負けた気はしないんだけど…」とつぶやきながら、終盤の底力に日本一チームの強さを感じた。
「やっぱり昨年のチャンピオンチーム。終盤の粘りはすごいなと思いましたね」。1点リードの八回、3本の安打を集中し同点とされた。前夜は被安打3で敗戦。16日の初戦は守備のミスから七回に追いつかれた。「紙一重」と振り返った3試合で勝ち切れなかった。
昨季3勝10敗と大きく負け越した鬼門・甲子園。扉を開くことはできなかったが、阪神攻略のカギは見つけた。「形も作れている。ウチもああいうことができるように、やっていけたらと思いますね」と指揮官。敗戦から学んだ教訓を次戦以降の戦いで生かしていく。
2024年04月19日 05:01
米大リーグ・ジャイアンツをFAとなり、5年ぶりに古巣のDeNAに復帰した筒香嘉智外野手(32)が18日、横浜スタジアムで開催された公開入団会見に出席した。降りしきる雨の中、約9600人のファンが集結。応援歌の大合唱で温かく迎えられ、筒香は「鳥肌が立っています」と奮い立つ思いを率直に口にした。また、三浦大輔監督(50)もサプライズで登壇。“ハマの大砲”の帰還を盛大に祝福した。
懐かしいファンファーレに思わず胸をいっぱいにした。
♪「横浜の空高く〜 ホームラン かっ飛ばせ 筒香〜」
雨が降りしきるハマスタに、5年前まで愛されてきた自身の応援歌が響いた。グレーのスーツに身を包んだ筒香は、温かい出迎えに深く一礼。ポーカーフェースを崩さない男が「正直、かなり鳥肌が立っています。久々にこの応援歌を聴けて興奮しています」と高ぶる気持ちを素直に口にした。
日本球界復帰を表明後、巨人など複数球団による争奪戦の末、古巣でのプレーを選択した。その決断について「常に野球がうまくなる方というのが自分の頭の中にあり、うまくなる方を選択してきたつもり」と説明。「正直、日本に復帰するというモチベーションがいまひとつ上がらなかったのが事実」としながらも「毎日練習している時間の中で、やはりベイスターズで優勝したいという思いが、日本でプレーするモチベーションになりました」と古巣への変わらぬ愛が上回った。
2019年オフにメジャーに送り出されてから、球団からは将来的な復帰について毎年のようにラブコールを送られてきた。「毎年、僕の心を動かされるような言葉を、南場オーナーにかけていただいた」。3月20日にジャイアンツを自由契約になると、三浦監督からも直電があった。「『おい、帰ってこいよ』と言われて。15秒くらいで電話が終わりました」。モノマネを交えながらコミカルに明かしたが、かつてともにプレーした指揮官の熱い思いはハートに突き刺さった。
かつての本塁打王が5年ぶりの復帰。ポジションは一塁もしくは左翼が濃厚で、打線も佐野、牧、宮崎の中軸にさらなる厚みをもたらすことが期待される。しかし、本人は特別扱いを期待してはいない。「勝負の世界に『はい、ポジションどうぞ』という勝負の世界はないと思っている。自分のパフォーマンスでポジションを取りに行くだけ」とポジション獲得へ、泥くさく挑むつもりだ。
1カ月ほど実戦機会から遠ざかっているため、当面は神奈川・横須賀市内の2軍施設で調整する。早ければ20日のイースタン・巨人戦(横須賀)で実戦出場する可能性もあり、早期の1軍合流を目指す。「勝利、優勝というものを強く思って、ハードにプレーしていきたい」。現在チームは借金を背負うが、背番号25が起爆剤となる。
◆筒香 嘉智(つつごう・よしとも)1991年11月26日生まれ、32歳。和歌山県出身。185センチ、97キロ。右投げ左打ち。外野手。横浜から2009年度ドラフト1位で横浜(現DeNA)入団。2019年オフにポスティングシステムによりメジャー移籍し、レイズに入団。21年途中からドジャース、パイレーツと渡り歩いた。その後、ブルージェイズ、レンジャーズのマイナーでプレー。米独立リーグを経て昨年8月、ジャイアンツとマイナー契約を締結し、今年3月に自由契約。NPBでは本塁打王・打点王各1回(共に16年)、ベストナイン3回(15〜17年)。15年プレミア12、17年WBC日本代表。