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2025年02月10日 18:00
◆ 白球つれづれ2025・第6回 ある時は「今牛若丸」、またある時は「ムッシュ」の愛称で親しまれた元阪神監督の吉田義男氏が2月3日脳梗塞で亡くなった。91歳の大往生だった。 1953年に、立命館大を中退して阪神に入団。以来73年にわたりタイガースをこよなく愛し、チーム強化に心血を注いだレジェンドである。 39回と6回。これはセ・パ2リーグに分立した1950年以降の巨人と阪神のリーグ優勝回数だ。名門同士、伝統の一戦と常にライバル関係にあったが、実情は巨人の一強。阪神には長い冬の時代が続いた。この苦難の時代を知り、ようやく光明を見出した85年の球団初の日本一。影の時代も、光の時も常に吉田氏がいた。 その白球人生を振り返ると、四つの大きな節目がある。 まずは現役時代。167センチの小柄ながら、堅守俊足巧打の遊撃手として1年目からレギュラーの座を掴み取る。その華麗な守備は「マジックスロー」と呼ばれ「捕るが速いか、投げるが速いか」と王貞治現ソフトバンク球団会長が偲べば、中日のエースだった権藤博氏は「唯一無二の名手で、別格中の別格」と証言する。 当時の巨人には広岡達朗がショートを守り、三塁は長嶋茂雄の黄金三遊間と人気を博した。だが、そんな彼らよりも巧いと言われたのが吉田と三宅秀史のコンビだった。 次の節目は監督時代である。75年からの第1次監督期では3年間で2度のAクラスも最終年に4位で終わると退任に追い込まれる。それから8年後の85年に二度目の監督に就任すると初年度に球団初の日本一を手にした。 ランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布の強力クリーンアップで伝説の巨人戦バックスクリーン3連発ばかりがクローズアップされるが、捕手、二遊間に中堅を含めたセンターラインの強化で守備力を高めた吉田流の守りの野球の勝利でもあった。 97年からの第3次監督時代はわずか2年で幕を閉じるが、日本一監督の称号は、その後も色あせることはなかった。 さらに吉田氏を語る上で欠かせないのは「国際派」の知見だろう。 現役引退後には、何度も米国に渡っている。本場のメジャーリーグを観戦し、戦術からトレーニング法まで学び、後の指導に役立てた。 フランスのナショナルチーム監督に就任したのは、日本一になってから5年後のことだった。パリにアパートを借りて、フランス語も学びながら、野球後進国の指導に心血を注いだ。目標とした五輪出場は叶わなかったが、現地では「ムッシュ・ヨシダ」と親しまれ、今でも「吉田チャレンジ」と名前を冠した国際大会が開催されていると言う。 そして、四つ目は有力OBとしての“政治力”も見逃せない。 3年前に2度目の岡田監督誕生時には、当時の角和夫オーナーと岡田氏の間に立って尽力。それが球団史上2度目の日本一につながった。 球団は今年が創設90周年。これを記念して吉田氏を始め、掛布、岡田、田淵幸一氏ら9人を「アンバサダー」として起用すると発表したばかりだった。 伝説のスター選手は数多く輩出しているが、3度の監督を務めたのは吉田氏以外いない。それどころか、田淵、掛布、江夏豊氏らは一軍監督に起用されたことがない。 阪神と言う球団は長く親会社や役員人事によって監督人選に影響を及ぼして来た歴史がある。人気球団ゆえ、タニマチが選手を夜の街に引き連れていた弊害も指摘されたことがある。選手による不祥事もあった。 長い冬の時代。伏魔殿のような難しい組織にあって、天国も地獄も味わいながら常に球団のシンボルであり続けたのが吉田義男と言う男だ。 華麗にして堅実な現役時代。柔和に見えて頑固で信念の指揮官時代。球史に残る名人が阪神タイガースと言う熱い血を宿して天国に旅立った。 新生・藤川タイガースに新たな使命が加わった。 文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
2025年03月27日 21:00
野球評論家の高木豊氏が27日、自身のYouTubeチャンネルを更新。セ・リーグの順位予想を披露した。
前日のパの予想では「日本ハム」を1位と予想した高木氏は、下位から順に予想を公開。「これは本当に悩んだけどね」とした上で、最下位には中日を挙げた。昨年まで球団史上初の3年連続最下位に沈んだが、井上新監督が就任。オフに絶対的な守護神、ライデル・マルティネスが巨人へ移籍。「もう少し上に行くかなと思って期待していたけど、まだまだいい投手にかかると、どこもそうだけど、1本が出ないとかジリジリする。昨年より投手がどうかという横ばいだし、そんなに良いとも感じない。もう1年辛抱しなきゃいけないのかなというような感じもするよね。ちょっと苦しいかなと思う」と指摘した。
5位にはヤクルトを挙げ「投手陣が悪いと言われながら、オープン戦頑張れた。勝負強さはヤクルトの方が(中日より)もってる。ただ、けが人が多い。だけどなんとなく埋めてるよね若手が」と語った。
4位には広島。「Aクラスの力はあると思うんだけど、やっぱり打てないよね。中継ぎとかそういうのはいいんだけど、先発で九里の代わりに常広とか、佐藤がもうちょっといいかなと思ったら、ちょっと(OP戦)後半やられた。誰が九里の穴を埋めていくのかという不安はある。坂倉がいない、長打がない。外国人も例年よりはいいかもわからないけど、信用はできない。そこらへんが得点力不足になってくるかと思う」と、分析した。
3位には昨年日本一のDeNA。「OP戦見るかぎりあまり打てないな」と指摘。コーチ陣の変更で「しっくりいってるのか、いってないのか。ちょっと落ち着いてないかな、打つ方は。投手陣はそこそこ投げるけど、抜群にいいかというと」と語った。
2位は藤川新監督体制で挑む阪神。「代わった年に優勝するケースがこのところ増えてる。1年目というのは新鮮さがある」と1位に悩んだことを明かした上で、1位は連覇のかかる巨人。「補強だよね。甲斐をとったとか、姿みてるとやっぱりいいよ。ライデルも安定感はあるだろうなと。その前に大勢がいる。阪神も悪くないが、甲子園という球場を本拠地にした場合、接戦になる。そうなると投手力がいる、あとは守備力が問われる。巨人との差は球場の特性と守備力の差が順位として現れるかなと。阪神も全然悪くないよ」と分析した。
2025年03月27日 20:59
米メディアがアンケートで直撃した
人望と強さを兼ね備えている“最強軍団”だ。米メディア「ジョムボーイ・メディア」が26日(日本時間27日)、自社X(旧ツイッター)を更新。「MLBスター選手たちが、チームメートになりたい選手を1人選んだ!」としてインタビューを実施した。10人中5人がドジャースと回答し、大谷翔平投手やムーキー・ベッツ内野手らに票が集まった。
昨季105.5マイル(約169.7キロ)をマークして話題となったエンゼルスのベン・ジョイス投手は「僕はすでにマイク・トラウトとチームメートで、これは本当に素晴らしいことだよ」と前置きし、ドジャースのクレイトン・カーショー投手の名前を挙げた。「僕は右投げだけど、彼の投球フォームをいつも真似しようとしていたよ」と語っている。
昨年オフに7年1億8200万ドル(約273億5000万円)でジャイアンツに加入したウィリー・アダメス内野手は、テオスカー・ヘルナンデス外野手を“指名”して「実現することはないだろうけど、彼と一緒にプレーしてみたい」。そしてレッズのジェイク・フレイリー外野手は「ショウヘイ。彼はとても誠実そう。彼については、いつもいい話しか聞かない」と述べていた。
そのほか、来日していたカブスの“PCA”ことピート・クロウ=アームストロング外野手は「ムーキー・ベッツ。何もいうことはないよ。彼は野球にとって非常に素晴らしい存在だ」。レッズのハンター・グリーン投手もベッツで「すごく面白そうな男だ。とても気が合いそうだ」と説明した。(Full-Count編集部)
2025年03月27日 20:30
DeNAの牧秀悟キャプテンが27日、開幕に向けて意気込みを口にした。
牧は「いよいよだなと思いましたし、また、新たなシーズンが始まるなという気持ちでいます」と第一声。「いい形で入っていけるんじゃないかと思います」と準備万端だ。
「143試合の1試合目になりますけど、すごい大事な1試合になると思いますし、去年、ああいう形で終わって今年の一戦目なので、すごく注目されると思うので、勝って次の日に行きたいと思います」。
昨季はリーグ3位から日本一を達成したDeNA。98年以来のリーグ優勝、2年連続日本一へ、牧秀悟キャプテンがチームを引っ張る。
(ニッポン放送ショウアップナイター取材班)
2025年03月27日 20:30
昨年12月に3億4000万ドルの提示も…「僕が求めているものとは程遠い」
ブルージェイズのブラディミール・ゲレーロJr.内野手は今オフにFAを迎える。
2025年03月27日 20:21
DeNAの東克樹が28日、中日との開幕戦に先発する。
2年連続3回目の大役となる東は「オープン戦からちょっとずつちょっとずつと段階を踏んで、状態は上がってきたのかなと思います」と現在の状態について説明。
「僕自身、試合を作ること、それをしっかりと意識して、投げることが一番重要かなと思いますし、郄橋宏斗投手はいい投手なので、その中でもベイスターズの打線を信じて、点をとってくれることを信じて僕はひとり一人の打者に向かって行きたいと思います」とチームの勝利のため腕を振っていく。
(ニッポン放送ショウアップナイター取材班)
2025年03月27日 20:08
開幕4番に指名されている日本ハム・野村佑希内野手が27日、西武との開幕戦(28日、ベルーナドーム)に向け、同所での全体練習に参加した。オープン戦では16試合中15試合に出場。順調に調整をすすめ「ケガなく来られてますし、打席も無駄にせずにできている」とうなずいた。
昨年11月のファン感謝イベント「F FES」で、新庄監督が開幕4番に指名。そこからの時間を「深く考えていたので長く感じました」と振り返りつつ「始まってしまえば一瞬だと。しっかり大切に一日一日過ごしていきたい」と表情を引き締めた。
西武の先発は今井。チームは昨季4試合の対戦で防御率0・59と抑えられた。主砲としての役割を担う野村は「簡単に打てるピッチャーじゃない」と認め「もちろんヒットが出たり、いいスタートが切れたら最高ですけど、ヒットじゃなくてもいろいろ点をとることができますし、そういうチームが勝てるような打席を過ごせるように準備ができたら」と勝利に導く打撃を誓った。
2025年03月27日 20:02
9日のオープン戦でボーク宣告、YouTubeで不満表明
DeNAのトレバー・バウアー投手が、9日のオープン戦でボークを宣告されたことに怒りが収まらない。背景には日米でのルールの違いがあるのだが、自身のYouTubeで「人生で一番ばかげている」と不満をこぼした。
問題の場面は9日に京セラドームで行われたオリックス戦で、バウアーにとっては日本復帰登板だった。2回2死三塁から西野真弘内野手に初球を投じた際、球審からボークを宣告されて2点目を許した。
バウアーは両手を広げて「Why?」と不満をアピール。球審は「投球動作の変更によりボークを宣告しました」と説明したが、バウアーは明らかに苛立った様子。その後もピンチを招いたものの、なんとか立て直して3回を5安打2失点(自責点0)だった。
この場面について、バウアーは25日に自身のYouTubeチャンネルであらためて不満を表明。「これまで人生で判定された中で一番ばかげたボークをとられました」と言及した。
問題の場面でバウアーは、右足をプレートにつけて左足を前にした状態で静止し、そこからワインドアップの動作に入ったためボークを宣告された。直前にバウアーはセットポジションではなくワインドアップポジションで投げることを球審に伝えるジェスチャーをしていた。だがメジャーリーグとは異なり、日本では「投球動作の変更」の自己申告が認められていないため、この判定となった。
動画でバウアーは「どうやら日本では、球審に自分が振りかぶって投げると合図したとしても、そして毎回まったく同じように振りかぶって投げても、走者がいる場合は振りかぶって投げる際のセットの仕方がセットポジションとみなされるようだ」と、一応はルールの違いを理解した様子だ。それでも「私はこれまでどのリーグでもそういうルールでやってこなかった。1度も、どのレベルで野球をしていた時も。まったく新しいことでしたが、どうやらそういう理由でボークを取られたようです」と皮肉を込めた。
とはいえ開幕前に問題を認識できたことは、バウアーにとっては不幸中の幸いだっただろう。元サイ・ヤング賞投手が2年ぶりの日本で、どのような投球を見せてくれるのか注目だ。(Full-Count編集部)
2025年03月27日 20:00
阪神、近鉄、楽天で内野のユーティリティープレーヤーとして活躍した星野おさむ氏(54)。
2025年03月27日 19:52
◆ 開幕投手は今井達也
NPBは27日、翌日28日に2025年シーズンの開幕戦を戦う12球団の「開幕一軍メンバー」を発表した。
西武は28日の18時00分から、本拠地・ベルーナドームで日本ハムと対戦。予告先発は、西武が今井達也、日本ハムは金村尚真と発表されている。◆ 西武・開幕一軍メンバー
● 投手
渡邉勇太朗
郄橋光成
佐藤隼輔
甲斐野央
羽田慎之介
T.ウィンゲンター
今井達也
黒木優太
E.ラミレス
黒田将矢
平良海馬
● 捕手
古賀悠斗
炭谷銀仁朗
牧野翔矢
● 内野手
仲田慶介
外崎修汰
源田壮亮
元山飛優
平沢大河
L.セデーニョ
中村剛也
滝澤夏央
野村大樹
● 外野手
渡部聖弥
T.ネビン
平沼翔太
西川愛也
長谷川信哉
2025年03月27日 19:42
28日の西武との開幕戦(ベルーナドーム)で自身初の開幕投手を務める日本ハム・金村尚真投手が27日、同所でのチーム練習に参加した。大役を担う24歳は「本当に始まるんだなっていう思いと、開幕を任されているので、しっかりいいスタートを切れるように」と抱負。「プレッシャーはそんなに感じていないけど、緊張はすると思う。その緊張も楽しみながらやっていければ」と落ち着いた表情で話した。
相手エース今井との投げ合いについても「意識し過ぎて自分の調子が狂うのが一番ダメ。自分のピッチングに集中していければ」と過剰な意識はなし。開幕という節目にも「普段通り行くのがベストかな。何も変えずに普段通りにいければ」と自然体を強調した。
2025年03月27日 19:40
大谷は2023年に史上初の「40HR&20盗塁+100奪三振」を達成
ドジャース・大谷翔平投手は昨季打者に専念し、54本塁打と130打点の2冠に加えて59盗塁も記録し、前人未到の「50本塁打&50盗塁(50-50)」を達成した。今季は二刀流復帰が注目される中でどんな成績を残すのか。地元記者は“大胆”な予想を打ち立てた。
地元メディア「ドジャース・ネーション」のノア・カムラス氏は26日(日本時間27日)、27日(同28日)に控える米国開幕戦を前に「ドジャース2025シーズンに向けたさらなる大胆な予想」と題し、5つの予想を行った。そして最初に“予言”したのが大谷の今季成績だった。
カムラス記者は「ショウヘイ・オオタニが(打者として)50本塁打、30盗塁、(投手として)100奪三振を達成」と予想。投打で躍動し、「彼が2025年に史上最高のスタッツラインの一つを達成する」と見た。大谷はエンゼルス時代の2023年に史上初めて同一シーズンで「40本塁打&20盗塁+100奪三振」を達成。同氏は「今年は、それをさらに上のレベルに引き上げるだろう」と期待を込める。
「オオタニは再び50本塁打シーズンを達成するだろう。投手として復帰するため50盗塁はしないだろうが、30盗塁は可能だろう。そして、投手としては100奪三振の大台に達し、まるでビデオゲームでしか見られないようなスタッツラインを完成させるだろう」と笑顔。さらに“ボーナス予想”として「4度目のMVPを獲得するだろう。しかし現時点では、これはそれほど“大胆な”予測とは言えない」とし、健康にプレーすればMVPは既定路線と見ているようだ。(Full-Count編集部)
2025年03月27日 19:37
◆ 開幕投手は宮城大弥
NPBは27日、翌日28日に2025年シーズンの開幕戦を戦う12球団の「開幕一軍メンバー」を発表した。
2025年03月27日 19:07
OP戦は5試合で防御率0.00…カブス戦でも1回3K
日本野球機構(NPB)は28日、29日に開幕戦を迎える全12球団の出場登録選手を公示した。阪神のルーキーでは、ドラフト1位の伊原陵人投手に加えて、育成ドラフトで入団した工藤泰成投手が切符を手にした。驚きの“出生街道”に「工藤くんシンデレラストーリーまっしぐらじゃん」「何で育成だったん?笑」とファンも騒然としている。
6か月の間にステップアップを重ねている。最速159キロを誇る23歳の工藤は秋田の明桜高、東京国際大を経て2024年に四国IL・徳島に入団。8勝を挙げて最多勝を獲得し、阪神から2024年の育成ドラフト1位指名を受けた。プロ入り時は鍛え上げれた筋肉と肩幅が話題を呼んで注目を集めると、キャンプや実戦でも快速球で圧倒していく。
オープン戦は5試合に登板して無失点、奪三振率12.27をマーク。3月7日に支配下選手登録されると、15日にはカブスとのプレシーズンゲームに登板し、アウト3つを全て三振で奪う快投を見せた。そして27日には開幕1軍も確定させ、育成ドラフトから成功への階段を着実にのぼっている。
工藤の開幕1軍を受け、ファンは感動と称賛を送った。「工藤泰成の育成指名→開幕前に支配下→開幕1軍は快挙すぎる」「工藤も育成からの開幕1軍やしすごい」「あの速球は観ていてワクワクするからなぁ」「この次はどんなストーリーになるのか期待大」「育成で残ってたの奇跡」といった反応や、「千賀ルートでメジャー行くんだろうな」などと、育成ドラフトからメジャー移籍を果たしたメッツ・千賀滉大投手に次ぐ“成功作”を期待する声もあった。(Full-Count編集部)
2025年03月27日 19:06
◆ 開幕投手は小島和哉
NPBは27日、翌日28日に2025年シーズンの開幕戦を戦う12球団の「開幕一軍メンバー」を発表した。
ロッテは28日の18時30分から、みずほPayPayドームでソフトバンクと対戦。予告先発は、ロッテが小島和哉、ソフトバンクは有原航平と発表されている。◆ ロッテ・開幕一軍メンバー
● 投手
小島和哉
種市篤暉
菊地吏玖
小野郁
鈴木昭汰
益田直也
木村優人
A.ボス
中森俊介
横山陸人
T.ゲレーロ
● 捕手
田村龍弘
佐藤都志也
寺地隆成
● 内野手
友杉篤輝
安田尚憲
藤岡裕大
中村奨吾
上田希由翔
小川龍成
N.ソト
● 外野手
藤原恭大
角中勝也
西川史礁
G.ポランコ
岡大海
郄部瑛斗
和田康士朗
2025年03月27日 19:01
2025年から一般用の「高反発バット」の使用が禁止(子ども用の高反発バットの使用は認められている)になり、これまでよりも打球が飛ばなくなることが予想されています。それでも横浜市にある学童軟式野球クラブ「横浜球友会」では木製バットで試合に臨むポリシーを大事にしています。3年前から本格的に取り組んでいるバーティカルスイングと併せて、監督の笹木郁男さんにお話を聞きました。 高反発バットは百害あって一利なし
横浜球友会が木製バットで打つことにこだわるのは、「当たれは飛ぶ」ようなバットの性能に頼るのではなく、正しいバッティング技術を身につけて欲しいと考えているから。
「高反発バットは百害あって一利なしだとずっと思っていました。そもそも6年生だけでチームを組めるチームも少なくなっているなかで、例えば早熟で体の大きい6年生が高反発バットで捉えた強烈な打球が投手に飛んだら単純に危ないですしね」
木製バットには、折れたら危ない、折れたらお金がかかるといった声もある。これに対して笹木監督はこう話す。
「学童野球レベルのピッチャーの球速であればほとんど折れません。うちのチームがお世話になっているメーカーのバットはオーダーしても1本8000〜10000円くらいで、1、2年は十分に持ちます。正しい技術が身につくだけでなくコスパ的にも木製がいいと思っています」
バッティング練習は木製バットを使うだけではなく、前回紹介したように「バーティカルスイング」いわゆる「縦振り」を意識して行われています。
バーティカルスイングと言えばドジャースの大谷翔平選手やヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が代表的ですが、笹木監督が理想としてMLBを代表する二人の他にNPBではソフトバンクの近藤健介選手。
「去年NPBで唯一打率3割を超えた日本の選手は近藤選手だけです。タイトルもたくさん獲っていますし日本で最高のバッターである近藤選手を見習わない理由がないですよね」
そんな近藤選手の身長は171cm。プロ野球選手の中ではかなり小柄な部類に入りますが、それは大谷選手やジャッジ選手のような立派な体格、圧倒的なフィジカルがなくてもバーティカルスイングで結果を残すことは可能ということなのかもしれません。
それでもバーティカル理論に否定的な指導者はアマチュアにもプロにも多くいます。バーティカルスイングを身につけても、中学のチームでは「なんだその打ち方は!」「最短距離でバットを出せ!」と言われる場面もあるかもしれません。
「もちろん、そういったチームもあります。でも、そもそも『最短距離でバットを出せ』という指導を私は否定していませんし、このスイングはバッティングの引き出しの一つだと思っていますから、それも仕方ないと思っています」「俺はどうしても勝ちたいから金属で打ちたい」
わざわざ木製バットを使うこと、中学、高校で否定されるかもしれないスイングを練習すること。そのことに対して保護者の理解はあるのでしょうか?
「そこはもう保護者にも座学もやって、プリントも配って説明もして、理解してもらっています。今はYouTubeでもバーティカルスイングの動画とかたくさんありますから、保護者も事前にそういうのを見ていて興味を持ってきてくれるようになりましたし、親も一生懸命理解してくれようとしています」
だが、理解はしてくれたとしても、我が子のチームが勝って欲しいと思うのは親ならば当然のこと。実際にこんな事もあったという。
「大会を勝ち進んでいくと『金属バットを使った方が勝てるのでは?』『使っちゃダメなの?』そんな声もあったと聞いています(笑)。保護者の皆さんの気持ちも良く分かります。このときは保護者のまとめ役の方が『うちはこういう方針でいくと決めて練習をしてきたのですから木製でいきましょう』とまとめてくれました」
勝ちたいのは親だけでありません。試合では木製バットで臨むのが横浜球友会のスタイルですが、子どもも揺れたことがありました。横浜市の200チームが参加した大会での予選トーナメントでのこと。「金属で打ちたい」という子が2人出てきたのです。
「普段は勝つことにそんなにガツガツしているチームじゃないんですけど、子ども達が珍しく『勝ちたい!』という感じで。それで子ども達で話し合って、『木製でやってきたんだから木製でやろうよ』『いや、俺はどうしても勝ちたいから金属で打ちたい』とか、子ども達だけで喧喧囂囂の議論をしていて(笑)。その様子を見て、子ども達って凄いなぁと、成長ぶりに感心したというか。だからその試合では子どもの考えを尊重して金属で打ちたい子には金属で打たせました。『でも決勝トーナメントに行ったら木製で打とうぜ!』って言って。実際、決勝トーナメントでは全員木製で打って、それで3位にもなることができました」バットが変わったからといって指導が変わるのは違う
バーティカルスイングと木製バットに本格的にトライして3年弱になる。
「下の子達も上の学年の子達を見てきているので『僕達もいずれ木製で打てるようになるんだな』『あぁいう打ち方の練習をするんだなぁ』という感じで楽しみにしてくれていると感じています」
もちろん打ち方には合う、合わないが選手によってはあります。だから試合では「自分の打ちたい打ち方で良いよ」というのが笹木監督の方針。「この形じゃないと使わない」ということはなく、あくまでも狙いはこのスイングを小学生の間に体験し、体と脳に覚えさせておくことにあります。
もう一つ、笹木監督がこのスイングにこだわるのは、身長、体格、バットの性能に関係なく、子ども達に正しいバッティング技術を身につけてもらいたいと思っているから。
「身長が160センチだろうが140センチだろうが同じバッティング練習をさせてあげたいですから。140センチの子に70メートル飛ばせなんて思っていません。内野の頭を越えるヒットが打てるようになったら十分じゃないですか。スイングの形がしっかりしていれば、やがて体が成長したときに飛距離は伸びてきます。バットが変わったからといってバントだ、転がせと指導が変わるのは違うと思います」
この春中学生になる子達が、横浜球友会にとっては本格的にバーティカルスイングの指導を行った「バーティカルネイティブ世代」。彼等がこれから中学、高校でどんなバッターになっていくのか楽しみです。(取材/写真:永松欣也)