2024年05月09日 05:00
◆ 上沢直之がマイナー降格 現地時間8日、ボストン・レッドソックスはニック・ピベッタ投手が負傷者リストから復帰することを発表。これに伴い、上沢直之投手(30)がマイナーへ降格となった。 上沢は3Aウースターで今季の開幕を迎え、同4月28日にメジャー初昇格。同5月2日のジャイアンツ戦でMLBデビューを果たし、2回をパーフェクトに抑えて無失点。さらに翌日のツインズ戦にも連投し、2回1失点という投球。ロングリリーフとして2試合に登板し、計4イニングで防御率2.25、3奪三振という成績だった。 上沢に代わって昇格するピベッタは、2番手として開幕ローテーションに入っていた先発右腕。今季は2試合に先発し、1勝1敗。計11回を投げて防御率0.82、13奪三振をマーク。2戦目の後に右肘を痛め、同4月9日から負傷者リスト入り。同5月2日には3Aウースターでリハビリ登板を行い、3回4失点という投球だった。
2024年05月20日 07:30
◆ 【DeNA】好投の大貫晋一に報うことができず惜敗…一本がでなかった攻撃に指揮官「1点ずつしか取れなかった」
一気にスイープを狙った3連戦の締めのゲームは、雨混じりの空にベイスターズファンのため息が広がるような展開となってしまった。
立ち上がりからエラーで足を引っ張られ、久々の援護をもらった直後にはまたもやエラーとフィールダーチョイスで同点にされる。それでも大貫晋一は集中力を切らさず、丁寧にゴロを打たせる我慢の投球を続けていた。
しかし1点ビハインドの6回、無死1-3塁のチャンスで京田陽太は昨日と同じようなケースでランナーを迎え入れられず、山本祐大と森敬斗も凡退。ひとりでも出塁すれば打席が回り交代となるはずだったが大貫は続投となり、その回に痛い追加点を取られてしまった。
だが後を継いだ坂本裕哉がダヤン・ビシエドを併殺打に斬って取ると、8回に登板した徳山壮磨も満塁のピンチを切り抜け味方の反撃体制を再び整えた。するとその裏、筒香嘉智のヒットを皮切りに、山本祐大のタイムリーで1点奪取。スタジアムのボルテージが上がる中、1死1-2塁で代打の大和に大声援が送られたが、結果は最悪のダブルプレーで試合を振り出しに戻すことすらできず、2-3で敗れた。
試合後三浦監督は大貫に対し「コースヒットはありましたけど、しっかりとゲーム作ってくれたと思います」と評価し、4回のエラー絡みでの失点にも「あそこでもなんとか最小失点でよく踏ん張ったと思います」と労った。
また「佐野(恵太)はもうほぼほぼ全部しっかり捉えた打球でしたから」と正面を突く運のなさを悔やみつつ「こちらとしては1点ずつしか取れなかったっていうとこですね」とコメント。特に6回の無死1-3塁での攻撃に「いろんな選択肢がある中で、スクイズでもサードランナーの足もありますし…」としながらも「取れなかったベンチの責任です」と最後にはすべてを背負った。
歯車が狂い、流れを掴みきれなかったゲーム。混戦のセ・リーグを抜け出すためにも、泥臭く1点を奪う野球が求められている。
写真・取材・文 / 萩原孝弘
2024年05月20日 07:30
前田純は日本文理大から2022年育成ドラフト10位でソフトバンク入団
ソフトバンクの前田純投手が、2軍で存在感を放っている。防御率1.07、勝率.800はウエスタン・リーグトップ、4勝は同トップタイ。ファンも「めちゃくちゃいいやんけ!!」「前田純くんすごくない? 支配下まだかな?」と注目だ。
2022年育成ドラフト10位で日本文理大から入団した背番号「167」。189センチの長身から投げ込む大型左腕は、昨季は同リーグでも1試合に登板したのみで、非公式戦が主戦場だった。
今季はウエスタン・リーグで7試合に登板して4勝1敗、防御率1.07、42イニングを投げてわずか5失点という無双ぶりだ。18日の広島戦では7回0/3を6安打無失点の快投を披露した。
1軍は現在首位を走るが、新戦力の台頭を期待するファンは多い。「前田純くん凄すぎる。圧巻といっていいと思う 絶対に今シーズン中の支配下はあると思います」「支配化ありなんじゃね?」「もう安心して見てられる」「まじで支配下登録してくれ」と“待望論”が沸き上がっていた。(Full-Count編集部)
2024年05月20日 07:20
松本正志氏が語る「イチロー」誕生への道のり
野球の神様がいなければ「イチロー」は誕生していなかったかもしれない。今年3月31日付でオリックスを退職した松本正志氏は、1977年に行われた夏の甲子園大会で東洋大姫路高を全国制覇に導いた。同年に阪急ブレーブスからドラフト1位指名を受けて入団。裏方に転身後はオリックスを含めて46年間のプロ野球人生を全うした。
数々の出会いがあったが、1991年ドラフト4位で入団してきた“鈴木一朗”外野手のインパクトは強烈だったという。松本氏は「僕は18歳から“鈴木”くんを見ていますけど、入ってきた時から喋り方や考え方は今と似ている部分がありますね」と笑った。
出会った当初から「ライナー性の柵越えばっかりで『これは凄いな……』と」と証言する。「でも、18歳の時は試合になったら“当て逃げ”ばっかりだと周囲に言われていましたね。僕の見ていた練習では間違いなく、強烈な打球を連発していました。(1軍の)遠征先でウエスタン・リーグの試合成績欄を見ていると毎日3打数2安打、4打数2安打でしたから」。期待の新星の1軍合流を楽しみにしていた。
「7月頃かな……? 1年目、初めて1軍に上がってきた時に『君が鈴木くんかぁ!』と思わず声を掛けてしまいましたね。本人は謙遜していましたけど(笑)。2軍では毎日打っていたけど、1軍で毎日1打席では結果を残せるタイプではなかった。2年目までは2、3回、1軍と2軍を行ったり来たりしていましたね」「イチロー、何か気分の悪いことあったんか…?」
プロ2年目の1993年、開幕戦に「9番・中堅」として起用された。「土井(正三)監督も素質を認めていたと思います。でも、最初は打てなかったんです。あの時も、すぐ2軍に落ちましたね」。一呼吸して、言葉を前に出した。
「ただね、その時に活躍していたら『イチロー』じゃないんですよ。『鈴木』なんです。次の年の開幕前に『イチロー』になったから、そこまでの響きがなかった可能性もある。だから、2年目までは失敗じゃないんですよ。そういうシナリオを神様が作ったんじゃないかな」
裏方から見た「イチロー」はどう映っていたのか。「自分を持っていましたね。簡単に人を寄せ付けないです」。松本氏が“プロ”を感じた瞬間がある。冴えない表情のヒットマンに尋ねた。「イチロー、何か気分の悪いことあったんか……?」。答えはすぐに返ってきた。
「5打数5安打で『うれしいですか?』っていう記者の質問、僕はプロとしてどうかなと思います。どんな仕事でもプロならプロらしくいてほしいですよね、正志さん!」
プロフェッショナルには通ずるものがあった。(真柴健 / Ken Mashiba)
2024年05月20日 07:10
中日からオリックスに現役ドラフトで移籍の鈴木博志…新天地では1軍未登板
変化をチャンスと捉える。
2024年05月20日 07:00
◆ 9回の犠打失敗に「齋藤にとっては、非常に悔しいゲームだったと思う」
カード勝ち越しを狙うオリックスは19日、楽天と対戦し延長10回・3x−2でサヨナラ勝ちを収めた。9回に同点に追いつかれたオリックスは延長10回、二死から4番森友哉と5番宜保翔の連続安打でサヨナラの好機を作ると、9回の犠打失敗を取り返したい6番宗佑磨が値千金のサヨナラ打を決めた。オリックス先発・齋藤響介は5回2/3無失点でプロ初勝利の権利をもって降板したが、この日1軍復帰登板となった平野佳寿が9回に村林一輝から同点適時打を打たれ、白星はお預けとなった。
9回のミスを取り返す一打を放った宗だったが、19日放送のフジテレビONE『プロ野球ニュース2024』の解説・谷沢健一氏は宗に対し厳しい声を上げた。
谷沢氏は「確かに10回は見事なサヨナラ打だったが、9回の犠打失敗がやはり気になる」と指摘。「齋藤が良い投球をしたが、9回に平野が追いつかれた。齋藤にとっては、非常に悔しいゲームだったと思う。そういう中で(犠打を失敗し)、はたしてこの一打を宗自身は喜べたのか」と若い先発投手の胸の内を慮りながら苦言を呈した。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
2024年05月20日 06:50
◆ 痛恨のサヨナラ負けでチームも5連敗…「盗塁から攻められて、悔しい降板だったと思う」
連敗を止めたい西武は19日、ソフトバンクと対戦し1−2xでサヨナラ負けを喫した。西武先発はドラフト1位ルーキーの武内夏暉。ソフトバンク打線を8回まで3安打4奪三振無失点と完璧に抑え込んだ。しかし完封勝利目前の9回、武内は先頭の1番周東佑京に安打を打たれると、左足がつるアクシデントで無念の降板。2番手・アブレイユは周東に二盗を許すと、3番柳田悠岐に同点適時打を浴び、4番山川穂高に死球を与える苦しい投球。最後は一死一・二塁で5番近藤健介に痛恨のサヨナラ適時二塁打を決められた。西武は逆転負けで連敗も「5」となった。
武内の緊急降板からのサヨナラ負けに、19日放送のフジテレビONE『プロ野球ニュース2024』でも注目が集まった。
谷沢健一氏は、サヨナラ打を浴びた2番手・アブレイユに対し「武内が足をつり、アブレイユは急遽登板となった。しっかりブルペンで調整ができていたかは分からないが、近藤の内角を攻めるには少しまともすぎた。外からカウントをとるとか、低めに神経を使うとかもなく、近藤を単純に攻めすぎた」と苦言を呈した。
笘篠賢治氏は、まさかのアクシデントに見舞われた武内について「たらればになるが、周東が安打で出塁後、そのまま左投手の武内が登板していたら周東は走りにくかったと思う。アブレイユに代わったので、盗塁のチャンスが生まれてしまった。そこから攻められたので、降板は悔しかっただろう」と分析。岩本勉氏も「自分自身がやっつけられたのであれば、気持ちの切り替えもついたと思うが…」とルーキーの心中を慮った。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
2024年05月20日 06:40
◆ 日曜日は驚異の打率.444・3本塁打!「岡の活躍でチームも貯金を作れた」
本拠地での連勝を狙うロッテは19日、日本ハムと対戦し4x−3でサヨナラ勝利を収めた。3−3の同点で迎えた9回、先頭の9番小川龍成が見逃し三振に倒れるも、1番岡大海が初球を振り抜いて打球はレフトスタンドへ。岡の今季第5号は値千金のサヨナラ弾となった。
岡は日本ハムの3連戦で打率.500・1本塁打・2打点を記録。さらに今季日曜日の試合では打率.444・3本塁打・5打点と「ヒロミサンデー」とも言える活躍を見せており、19日放送のフジテレビONE『プロ野球ニュース2024』でも大きな話題となった。
笘篠賢治氏は、岡のサヨナラ弾について「出塁をしなければならない場面で、初球の内角低めに対し積極的に自分のスイングを仕掛けて、一振りで勝負を決めた。チームも貯金を作れたので、大きな大きな一発となった。岡が本当に良い活躍をしてくれている」と称賛した。
谷沢健一氏は、初球を一振りで捉えた岡の打撃に対し「岡は明治大学時代に良い投手だった。その中でも足も速く、バッティングも密かに随分やっていたらしい。岡の狙い球の絞り方は、投手をやっていた時の読みを感じさせた」と元投手の経験を生かしたものだったと分析した。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
2024年05月20日 06:40
ツインズが発表…3年間広島でプレーしたジャクソン
ツインズは19日(日本時間20日)、ジェイ・ジャクソン投手をDFA(事実上の戦力外)としたことを発表した。
2024年05月20日 06:20
◆ 「4番候補が広島に生まれつつある」
広島は19日、本拠地での巨人戦に9−3で大勝。「6番・左翼」でスタメン出場した末包昇大は、今季1号本塁打を含む4打数3安打4打点の活躍だった。
対巨人戦で無類の誇る末包だが、この日も2点ビハインドの初回二死一・二塁で第1打席を迎えると相手先発・高橋礼のスライダーを振り抜き逆転左中3点本塁打をお見舞いする。
続く4回無死一塁で迎えた第2打席でも打球がイレギュラーバウンドして中安打を放ちチャンスを拡大。その後の適時打で今日2度目の生還を果たした。さらに5回では一死一塁からフルカウントまで粘った後に中安打を放つと、これを相手中堅手の萩尾匡也が後逸してまたしても得点を呼び込み、合計3安打3打点の数字をたたき出した。
末包の活躍もあって打線が11安打9得点を奪い巨人をスイープした広島だが、同日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』では負傷から帰ってきた3年目社卒外野手の活躍が話題になった。
対巨人戦の通算成績は打率.364(55−20)、7本塁打、16打点と圧倒的な数字を残しているだけに、番組MCを務めた谷沢健一氏も「巨人戦はね、結構強いんですよね」とその相性に舌を巻くと、続けて「4番候補が広島に生まれつつある」とさらなる飛躍を予感。
鈴木誠也の移籍後は菊池涼介などの巧打者タイプが4番を担ってきたが、「やっぱりこう、ドンっと座ったような打者がね……。待望の選手ですよ」と語り、近年の広島に不足していたパワーヒッタータイプの選手の到来に目を細めた。
末包は半月板の損傷で5月8日に合流したばかりだったが、待ちに待った一発でここからさらなる奮起が期待できる。好調を維持し、4番の座を射止める事ができるか、今後も注目していきたい。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
【動画】末包がGキラーぶり発揮でスイープ成功!/5月19日:広島―巨人戦試合ハイライト
2024年05月20日 06:18
タッカー、ヘンダーソンに2本差に迫った
■ヤンキース 7ー2 Wソックス(日本時間20日・ニューヨーク)
ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が19日(日本時間20日)、本拠地・ホワイトソックス戦に「3番・中堅」で出場し、今季13号2ランを放った。今季からリーグこそ違うが、ドジャース・大谷翔平投手に並ぶ一発。左手1本で右翼席へ飛ばす変態弾に本拠地も騒然となった。
5回無死一塁、追い込まれてからフレクセンのカッターを振り抜いた。バットの先のようにも見えたが、打球は伸びて右翼席に着弾した。5月に入って7本目のアーチ。一気に大谷に追いついた。
ジャッジは今季、開幕から調子が上がらず、4月終了時点で打率.207、6本塁打、OPS.754だった。しかし、5月に入り復調。打率も.266まで上昇した。
この日、オリオールズのヘンダーソンが1本、アストロズのタッカーが2本の本塁打を放ち、15本でトップに立っている。ジャッジは13発で2本差に迫った。(Full-Count編集部)
2024年05月20日 06:10
◆ 「自己申告で上がってこいという事は……」
巨人は19日、敵地での広島戦に3−9で敗戦。同一カード3連敗を喫したほか、順位も3位に転落となった。
苦手としているマツダスタジアムでの一戦となったこの日は、初回から打線が繋がり二死一・二塁のチャンスが生まれる。ここで坂本勇人、さらに萩尾匡也が連続適時打を放ち幸先よく3点を先制する。
しかし裏の攻撃で不運な当たりの適時打に3点本塁打を許し即座に逆転されると、援護したい打線も5回まで二塁も踏めない展開が続く。6回には四球と内野安打で無死一・二塁のチャンスを生み出したものの、ここで代わった森浦大輔から三者連続三振に倒れるなど要所で打線が繋がらず。結局その後も着実に加点され、無念の敗戦となった。
今季未勝利の鬼門でまたしても白星を掴めなかった巨人だが、同日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』で番組MCを務めた岩本勉氏は「広島ではなかなか振るわなかった打線でした……ちょっと湿っぽいように感じます」と打線の状態を話題に挙げた。
マツダスタジアムの3連戦では合計27安打を放つなど安打自体は出ているが、得点に結びつかない要因として、同じく出演した谷沢健一氏も「ちょっと繋がらなさっていうのはありますよね」と岩本氏に同意すると、続けて起爆剤として「僕はぜひ大城(卓三)選手を上げて欲しい」と現在2軍調整を命じられている正捕手に熱視線を浴びせた。
大城は昨季規定で打率.281、16本塁打を放つなど守備面だけでなく攻撃面でも重要な役割を担っていたが、谷沢氏は「(阿部監督は)落とした時に、自己申告で上がってこいというような事を言ったんですよ」と続けると、「という事は打撃だけじゃなくてリードの点に関してもそういう指示をされたと思うんですよね」とコメント。
さらに「今は打線が弱いですから、リードをしっかり勉強して上に上がってくる大城選手を僕は見たいなと」とまとめ、攻守両面でさらなるレベルアップをした大城の復活に期待を込めて語った。
安打自体は出ているものの、得点に繋がらなかったという結果は単純に考えてポイントゲッターが不足している事実を示しているのかもしれない。昨季までは主砲の岡本和真に並んで不動のクリーンナップを務めた存在として、一日でも早い大城の帰還を待ちたい。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
【動画】アドゥワ攻略寸前までこぎつけるも……/5月19日:広島―巨人戦試合ハイライト
2024年05月20日 06:00
「阪神7−2ヤクルト」(19日、甲子園球場)
阪神がリーグトップの11度目の逆転勝ちで2連勝。
2024年05月20日 06:00
「広島9−3巨人」(19日、マツダスタジアム)
広島が今季初の同一カード3連勝。日曜日のマツダスタジアムでは今季初勝利を飾り、4月5日以来の2位に浮上した。勝利の立役者は、初回に逆転の1号3ランを放つなど3安打の末包昇大外野手(27)だ。昨季巨人戦で6本塁打の男が“キラー”ぶりを示し、貯金も今季最多の3に。今季のマツダ最多となる、3万1576人の観衆の前で快勝し、21日からは阪神と首位攻防3連戦。一気に虎退治じゃ!
左中間席最前列に着弾した放物線に、誰もが酔いしれた。長く沈黙が続いた日曜日に別れを告げたのは、末包の決勝弾。一振りで試合の潮目を変えられる魅力が、この男にはある。形勢逆転の今季初アーチを「ようやく打てて良かった」と満面の笑みで振り返った。
初回だ。1点を返し、なおも2死一、二塁で高橋礼の高めスライダーを力強く捉えた。「スライダーが浮いてきたら振りたいなと」。狙い通り強振した打球がフェンスを越えると、場内の盛り上がりは最高潮に達した。
チームは今季、この試合まで日曜日の本拠地では未勝利で、計23イニング無得点。高橋礼には0勝1敗、計12イニングで長打がなかった。そんなムードを吹き飛ばした殊勲の一撃。昨季の11本塁打中、巨人戦で6本放った男が今季も“キラー”ぶりの片りんを示した。
四回無死一塁では、遊ゴロかと思われた打球が大きく跳ねるラッキーな中前打。五回1死一塁でも中前に運んだ。今季初の猛打賞には「打撃練習が良かったので、きょうはいけそうな気がしていた」と試合前から予兆があったと明かす。その打撃練習は、現在首位打者で5本塁打を記録しているヤクルト・サンタナを意識したものだという。
同じ右打者で参考になる部分が多い中、バットの出し方を手本にしたそうで「(バットの軌道が)波打っているように見えるけどラインの出し方がうまい」と話す。また、サンタナが12日の巨人戦で高橋礼から一発を放った時の映像にも目を凝らし、攻略への青写真を膨らませていた。豪快な3ランの裏には、細やかな準備が隠されていた。
最近は登場曲に、過去に放送された人気刑事ドラマ「はぐれ刑事純情派」と「太陽にほえろ!」のテーマ曲を使用。「アツさん(会沢)に『俺がやっとく』と言われて、ああなりました。その効果もあって何とか(打てた)」と苦笑しながら先輩の選曲に感謝した。
新井監督も「3点先制された直後だったので、本当に大きかった。昨年の経験が自信になっていると思う」と称賛した。チームは今季初の同一カード3連勝で、貯金を今季最多の3に増やして、21日からは首位・阪神と直接対決に挑む。「どんどん連勝を続けていけるように」と末包。右の大砲候補が反攻劇をけん引する。
2024年05月20日 06:00
◆ 「ここの所調子がそんなにだったんですけど……」
DeNAは19日、本拠地での中日戦に2−3で敗戦。11安打を放つ猛攻も要所でつながりを欠き、カード3連勝を逃してしまった。
ここまで全試合に出場していた牧秀悟に代わり、この日は4番に筒香嘉智が大抜擢される。およそ5年ぶりにかつての定位置に帰還した筒香だったが、初回にいきなり二死三塁のチャンスで打席を迎えると、6球粘った末に見逃し三振に倒れてしまった。
取り返したい筒香は3回は一死一塁から四球でチャンスを拡大すると、6回と8回にはいずれも先頭で二塁打と安打を放ち、チャンスメークに成功。特に8回は二塁まで進塁したのちに代走を送られたが、その後の山本祐大の右安打で得点につながるなど、要所で渋い役割を果たした一日となった。
21打席ぶりに安打を放った横浜の大砲については、同日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』で番組MCを務めた岩本勉氏も「ここの所調子がそんなにだったんですけど……2安打!」と話題に。
同じく出演した笘篠賢治氏は「やっぱりアメリカに行く前の筒香のイメージをずっと持って見ているんですけど」と切り出すと、「まだトップに行く時の体のねじりがね、浅く感じてしまうんですよ」と渡米前後の打撃フォルムを比較しながら分析。
続けて「だから外側をきっちり攻められるとキツいな、とか真ん中近辺から内側は対処できるんですけど……」とまとめ、外角への対応力をふまえつつ現状の課題点を指摘した。
渡米前後で打撃スタイルやフォームにどのような変化が生じたかは不明だが、少なくとも本塁打を量産していた渡米前の姿と比較すると打撃に向上の余地は残されているのかもしれない。不動の4番だった牧を欠く中で筒香にかかる期待は大きいだけに、これからの本領発揮を待ちたい。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2024』
【動画】11安打の猛攻もあと一本が出ずスイープ失敗……/5月19日:DeNA―中日戦試合ハイライト
2024年05月20日 06:00
広島9―3巨人(セ・リーグ=19日)――広島が今季初の同一カード3連勝。
一回に小園の適時打と末包の3ランで逆転し、中盤にも効果的に加点した。巨人は二回以降、打線が沈黙し3連敗で3位に後退。
◇
初回に二死から3点を奪い、巨人ベンチは活気に包まれた。しかし、直後に盛り上がりは消えた。試合後、阿部監督は振り返った。「あの4球がすべて」。それは、先発の高橋礼が先頭の秋山に与えたストレートの四球を指していた。
苦戦が続くマツダスタジアムで、今回はいきなり打線の援護を受けた。杉内投手チーフコーチが「守りに入るのは確かにある」と言うように、投手心理としては難しい試合の入りだった。
高橋礼の胸中は「早くアウトがほしい」という一心だった。4月の登板でイメージと実際の投球に「ズレが生まれやすい」と感じた慣れないマウンド。小林の構えるミットに投げられず、広島打線に捕まった。二死から末包に逆転3ランを浴びるなど4失点。先発ではプロ7年目で自己最短の1回で交代を命じられた。
ソフトバンク時代に新人王に輝いたサブマリンは、故障もあって投球フォームを崩し、四球を連発することも増えた。4〜6年目の3年間で1勝。巨人では初登板から3試合で2勝を挙げても、最近は勝てなくなり、過去の苦い記憶が脳裏にちらついた。「勝ちがほしい」との思いが膨らみ、打者との勝負に集中できなくなる自分がいたという。
阿部監督は「しっかり対策を練って、また戻ってきてほしい」との言葉とともに、二軍での再調整を明言した。被打率が高い左打者、慣れない屋外球場への適応など課題は多いが、「まずは気持ちの整理。弱い、ネガティブな気持ちになる自分とも一緒に戦っていけるように」と高橋礼。新天地での苦い黒星を、復活への糧にしたい。(財津翔)
巨人・阿部監督「3点取った後(の与四球で)相手もいけるんじゃないのと思ったはず。(マツダスタジアムで今季6戦未勝利となり)東京ドームで負けなきゃいい。それだけだよ」