2024年05月10日 17:30
「一切ないですね。そこまで気遣ってたら疲れるでしょ」 2016年春、当時37歳の阿部慎之助にインタビューをした際、若手選手への𠮟り方で気をつけていることを聞くと、遠慮は一切ないと断言していたが、監督になった今は選手たちの接し方に非常に気を遣っているように見える。2012年の日本シリーズで中大の後輩・澤村拓一(現ロッテ)の頭を引っぱたいて喝を入れたことについて、8年前は「次は蹴りを入れるよ(笑)」とリップサービスをかましつつ笑い飛ばしていたが、あの頃とは球界の価値観も大きく変わった。平成から令和へ、世の中の変化のスピードは早い。そして、巨人軍を取り巻く状況も近年、大きく変わりつつある。 今から20年前の2004年、巨人は圧倒的なブランド力と豊富な資金を背景にタフィ・ローズ、小久保裕紀、ロベルト・ペタジーニといったセ・パの大砲をかき集め、プロ野球記録の259本塁打を放ち“史上最強打線”と称された。原辰徳監督の最終年となった昨季もチーム打率.252、164本塁打は12球団トップである。だが、それだけ打っても2年連続Bクラスの4位と勝てなかった。すると、阿部新監督は真逆のベクトルともいえる、「守りの野球」を標榜したわけだ。 ◆ 巨人に待ち受ける「2026年問題」とは? いつの時代も、新しいボスはどこかで前任者とは違う自分の色を出したがるものだ。今季の巨人はチーム打率.228、88得点はリーグ5位、本塁打12は同4位タイ。対照的に投手力は23年リーグ5位のチーム防御率3.39から、24年は同2位の防御率2.32(5月8日現在)へと劇的に改善している(今のNPBが極端な投高打低なのも事実だが…)。首位阪神を追走する2位につけているが、トレード組の高橋礼や泉圭輔、ドラ1ルーキーの西舘勇陽らストーブリーグに急ピッチで投手整備に邁進した成果がはっきりと見てとれる。昨季までなら、大勢や中川皓太が離脱した途端にブルペンは崩壊状態に陥っていただろう。 ただ一方で、その反動で野手陣が急激に小粒化している印象は否めない。昨オフにウォーカーや中田翔を放出。特に3年契約の途中で自ら契約を破棄できるオプトアウト権を行使して、中日へ移籍した中田の穴は大きい。岡本のあとの五番を打てる3度の打点王を獲得した勝負強さがあり、その岡本が不振に陥れば代役四番を任せられる存在だったからだ。坂本休養時には、一塁中田・三塁岡本というオプションも可能だった。 さらに捕手では昨季の打率.281・16本塁打のベストナインキャッチャー大城卓三が打撃不振から二軍調整中。同じく23年に打率.273・10本塁打とブレイクした21歳の秋広優人も開幕を二軍で迎え、今月7日にようやく一軍昇格したばかりだ。 今の打線で長距離砲は四番の岡本和真しかいないが、近い将来、その岡本もメジャー移籍が有力視されている。海外FA権は30歳になる2026年に取得予定だが、本人のメジャー指向は強く、20代の内にポスティングでの移籍を目指す可能性も高い。松井秀喜以来の“不動の四番”の海外流出濃厚で、さらにチームを支えてきた坂本勇人も2年後の26年には38歳、丸佳浩も37歳の大ベテランである。 いわば、巨人に待ち受ける「2026年問題」。年齢順で言えば、坂本や丸のあとは安心して岡本に継承できるはずが、仮にメジャー行きとなれば現場はあと数年で岡本に代わる柱を作らなければならない。これが90年代なら、逆指名ドラフトで高橋由伸、二岡智宏、阿部慎之助と毎年アマ球界の逸材をかき集め、急激な世代交代も可能だった。さらにFAで清原和博や江藤智といったスラッガーを獲得して、チームの土台そのものを大型補強で作り替えてきた。今思うと、球界を牛耳る「ジャイアンツ・アズ・ナンバーワン」のムチャクチャな時代だが、それを最大限利用したのが長嶋茂雄監督だった。 巨大補強に邁進した長嶋巨人でプレーした第60代四番打者・落合博満が、引退後に「(長嶋さんの采配は)ペナント全部勝って、なおかつお客さんを喜ばせたいという野球だから。そんなことあり得ないけれど、それを求める人だから、どうしても無理しなきゃいけない」(VHS「長嶋茂雄 第三巻 背番号33の時代」/メディアファクトリー)と評していたが、残念ながら令和の巨人軍には、あの頃の松井秀喜や高橋由伸のような日本中が顔を知っているメガスターはいない。一流選手たちがこぞってMLBを目指す今の球界で、2000年に日本一に輝いた“ミレニアム打線”のような豪華メンバーを揃え、力で圧倒するような野球を追い求めるのはもう難しいだろう。 原巨人のV3に貢献したアレックス・ラミレスは先日、自身のYouTube『ラミちゃんねる』で元木大介をゲストに招いた際に、現在の阿部巨人には新たな外国人野手が必要(球団は10日にエリエ・ヘルナンデス外野手の獲得を発表)と指摘しつつも、、「ジャイアンツは資金の問題もあるよね。「阿部監督、持っている駒で最善を尽くしてくれ」という感じなので、もう少しフロントから戦力を強化してもらえればいいよね」と近年の巨人のスタンスの変化を鋭く指摘している。 当然、それは現場が最も敏感に感じていることだろう。だからこそ、阿部監督は、門脇誠や佐々木俊輔ら若手陣を底上げして、中堅組の吉川尚輝や大城をもう一度鍛えなおす。犠打を多用して泥臭くなんとか1点をもぎ取ろうとする阿部野球は切実であり、リアルである。正直、守り勝つ堅い野球というのは決して球場のファン受けがいいものではない。(そして試合後の阿部コメントもまだ固すぎる)。ただ、派手に打ち勝つ面白い野球をやりながら、さらにチームを再建するというのは新人監督には酷である。 もうあの頃の巨人のような大型補強の連発が可能な時代は完全に終わった。昨オフの原監督の退任で、長嶋政権から続いた「平成の巨人軍」的な価値観がついに終わったとも言えるだろう。その現実を、世間的には無名な若い選手が並ぶ国産打線のスタメンを毎試合確認しながら、一抹の寂しさを感じつつも多くのファンは徐々に受け入れ始めている。 振り返れば、阿部監督がプロデビューした2001年が長嶋監督の最終年だった。いわば、最後の“長嶋チルドレン”阿部慎之助が、長嶋巨人の幻想を終わらせる戦いが始まっているのである。 文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
2024年05月21日 05:01
日本プロ野球選手会と日本野球機構(NPB)との事務折衝が20日、都内で行われ、保留制度についても話し合った。既に高校出身選手が7年、それ以外の選手は6年で権利を取得できる国内FA権取得年数の1年短縮について議論を進めてきた。145日で1年とカウントされている出場選手登録日数を増やす案も出ている。
日本プロ野球選手会では、FA制度の見直し案について各球団の選手会役員に意見を聞いている最中だが、森事務局長は選手から「あまり変わった感がない」と難色を示す声も上がっていると明かした。今後も慎重に議論を行う。
2024年05月21日 05:01
巨人の菅野智之投手(34)が、交流戦前最後の一戦となる26日・阪神戦(甲子園)に先発することが20日、有力となった。体調不良を訴えて16日に抹消されたが、症状も回復。交流戦まで残り5試合で阿部監督は「5割」を目安にする考えだ。
「とにかく五分で交流戦に入れたらいいかな。貯金なんてワガママは言わないよ」
中日、阪神との5試合では「2勝3敗」がボーダーとなる。広島に3連敗で3位に転落した中、今季6試合に投げ、4勝無敗で防御率1・37の菅野の復帰は好材料だ。
指揮官は「無理をさせても仕方がない」と慎重に状態を見極めていくが、右腕はこの日の投手指名練習でキャッチボールなどを行い「回復したので大丈夫です」と話した。その上で「最善を尽くします。その(投げる)つもりで調整しているので。きっと大丈夫だと思います」と力強かった。
2024年05月21日 02:24
大谷と並び本塁打トップ…打点はリーグ最多41
■ブレーブス ー パドレス(日本時間21日・アトランタ)
ブレーブスのマルセル・オズナ外野手が20日(日本時間21日)、本拠地・パドレス戦で13号ソロを放った。ナ・リーグ本塁打数でトップに立つドジャース・大谷翔平投手に並んだ。
「3番・指名打者」で出場したオズナは、3回に無死から左翼席へ13号ソロを放った。打球速度105.6マイル(約169.94キロ)、飛距離411フィート(約125.3メートル)、角度35度だった。
オズナの本塁打は8日(同9日)の本拠地・レッドソックス戦で1試合2発を放って以来、9戦ぶり。久々の一発で本塁打、打点(41)の2冠に再浮上した。(Full-Count編集部)
2024年05月21日 01:44
昨季はパイレーツ、Wソックスでプレー…防御率4.23
ドジャースは20日(日本時間21日)、メッツから29歳のヨハン・ラミレス投手を金銭トレードで獲得したと発表した。
2024年05月20日 21:43
元中日監督で野球評論家の落合博満氏が20日放送のNHK「クローズアップ現代」に出演。銀行詐欺などの罪で訴追されている元通訳・水原一平被告の事件発覚後、大谷翔平選手の気持ちの変化について言及した。
番組では「ドジャース大谷翔平・新たなる闘い“止まらぬ進化”とは」として大谷について特集。開幕直後の耳を疑うようなショッキングな事件が起きたにもかかわらず、現在三冠王を狙える数字を挙げるなどバッティング絶好調の大谷。その“進化”について尋ねられた落合氏は「自分で会見を開いて、自分の一連のことに関しては全て第三者に任せたでしょ。そこで一区切りつけたんだと思います。人がつけるんじゃなく。後は司法の場に任せると」と、3月25日(日本時間同26日)に元通訳の違法賭博について初めて言及した会見が契機になったと推測。「自分の仕事は何なのかとなったときに、10年契約で1000億の契約を結んでいるわけですから、野球をやるのが自分の仕事なんだと切り替えたんだろうと思います」と指摘した。
自身が監督時代の選手への向き合い方を問われ、「選手は野球をやるのが仕事で、グラウンドでいかにして数字を残すかと言うことだけを追い求めていて。ほかのことに関しては自分達で処理しなさいっていう。だからグラウンドではそのような姿を一切見せるなということを無言のうちに言ってましたね」と話した。続けて「成績悪ければ2軍に落とすし、よければ使い続けるっていうようなことをしてましたね」と話した。
2024年05月20日 20:27
日本ハムの公式チアガール「ファイターズガール」の公式インスタグラムが20日、更新され、今季から披露されているサムズアップが印象的な新ダンスについて「わちゅごなダンス」と命名したことを発表した。「今シーズンから踊っている新しいダンス。球場で子ども達から『わちゅ!わちゅごな!』と言ってもらったので、そのまま、わちゅごなダンスって名前にしました」と綴り、公式YouTubeチャンネルに360度カメラを使った動画を投稿した。
おととしは大ブームを巻き起こしたきつねダンス、昨年はジンギスカンダンスが話題となったが、今季のダンスでは「どうするの?」を意味する「Whatchagonna do?(ワチャガナドゥ)」の歌詞が繰り返されるアメリカンな音楽とともに、メンバーが腕を組んで体をクネクネしたり、親指を立てたサムズアップを使った振り付けで踊る。曲はプロダンスチーム「avex ROYALBRATS」の「Whatchagonnado?」を使用している。
コミカルで明るい雰囲気を作り出す新ダンスも話題を呼んでおり、名前も正式に決定したことで、さらに人気が定着していきそうだ。
2024年05月20日 19:56
日本ハム・新庄剛志監督が20日、自身のインスタグラムを更新。21日のオリックス戦(エスコンフィールド)で中島卓也内野手と水谷瞬外野手をスタメン起用することを明言した。
「明日はベテラン中島君 1番 セカンド」「ファームでホームランキング 水谷君 5番 レフトで爆発してもらいます」と中島をトップバッターで、水谷を5番で起用することを明かした。
ベテランの中島は今季18試合に出場も、主に代打や代走での起用で、14打数3安打1打点、打率・214をマークしている。
今季現役ドラフトでソフトバンクから移籍した水谷はここまで1軍での出場は4試合にとどまっているが、2軍では8本塁打23打点、打率・283と好成績を収めている。
21日のオリックスは右腕のエスピノーザが先発予定。ロッテに連敗し、首位・ソフトバンクとは6差と離されており、本拠地に戻って再浮上の起爆剤としたい考えだ。
2024年05月20日 19:43
フィリーズのボームが荒稼ぎの5打点、2打席連続の犠飛に5号3ラン
■フィリーズ 11ー5 ナショナルズ(20日・フィラデルフィア)
フィリーズのアレク・ボーム内野手が、1試合5打点の荒稼ぎで一気にナ・リーグの打点トップに浮上した。
2024年05月20日 19:29
レッズとの4連戦初戦はボブルヘッドが配布、最終戦でサヨナラ打を放った
ドジャース・大谷翔平投手は19日(日本時間20日)の本拠地・レッズ戦で移籍後初のサヨナラ打を放ち、チームの3連勝に貢献した。4連戦となったレッズとのカードを「大谷の特別な週末」として米メディアが“総括”した。
MLB公式サイトが、「『大谷の特別な週末』はドジャース加入後初のサヨナラ打で終わる」とのタイトルで「ショウへイ・オオタニにとっては、なかなかの1週間だった」と掲載した。
記事では、カード初戦の16日(同17日)はドジャースの一員となってからでは初のボブルヘッド・ナイトが実施され、ファーストピッチの最大4時間前からドジャースタジアムの外に長蛇の列ができた。列があまりに長く、チームが開場時間を早めたほどだったと報じた。
17日(同18日)はロサンゼルス市議会に感謝の念を示された。市議会は(昨年の)ア・リーグMVPがドジャースのユニホームを着ている間、少なくとも今後10年間は、5月17日がロサンゼルス郡ではショウへイ・オオタニ・デーになると宣言した。オオタニは、もちろん、その晩本塁打を打った。
19日(同20日)、オオタニは盛りだくさんだった週末を、ドジャース加入後では初めてのサヨナラヒットで締めくくった。47試合消化時点で、ほとんどの打撃部門でチームトップ。まだシーズン序盤ではあるが、DHのみの出場でもナ・リーグMVP有力候補としての地位を固めている。
サヨナラ勝ちを収めた一戦は、チーム一丸となっての勝利。それを率いたのは今回も、新しいスーパースターだった。フレディ・フリーマン外野手は「彼は(最近)とてもよくバットが振れている。あの場面で彼以上の適任はいない」とコメントしていた。
大谷の注目度、存在感は日に日に増しているようだ。(Full-Count編集部)
2024年05月20日 18:58
大谷翔平のサヨナラ打で敗れたレッズは直近23試合で18敗
■ドジャース 3ー2 レッズ(日本時間20日・ロサンゼルス)
ドジャースは19日(日本時間20日)の本拠地・レッズ戦で、延長10回の大谷翔平投手のサヨナラ打で勝利。4連戦だった同カードを3勝1敗で終えた。レッズはサヨナラ打を打たれるまで大谷を14打数2安打に抑えていただけに、地元メディアは「悪夢と言っていい遠征」と肩を落とした。
ドジャース4連戦の初戦こそ7-2で快勝したものの、残りを3連敗。最後は14打数2安打と“眠らせて”いたはずの大谷にサヨナラ打を浴びた。地元メディア「シンシナティ.com」のゴードン・ウィッテンマイヤー記者は、「レッズはこの10日間(合計)4959マイル(約7981キロ)を移動し、3つの都市で、92イニングの遠征を戦った。質の悪いたった3勝しか持ち帰ることが出来ず、地区最下位のチームはILにもう2人加わった」と嘆きの記事を掲載した。
ベテランのリリーフ投手のエミリオ・パガンは「残念だ。この結果や勝利数は受け入れられないものだと私たちは理解している。シリーズを繰り返して負けるのは楽しくない。私たちはそういうチームではない」と、コメントした。
記事では大谷のサヨナラ打による決着に「レッズにとって悪夢と言っていい遠征で、最もふさわしく、最もイライラさせられる結末だったかもしれない」と総括した。
ナ・リーグ中地区最下位のレッズは、直近23試合で18敗を喫し、今季は19勝28敗で借金9となった。前回、借金9以上となったのは2022年で、その年は100敗した。まだ5月、地元メディアが嘆きたくなるのも納得だ。(Full-Count編集部)
2024年05月20日 18:30
◆ 白球つれづれ2024・第17回
メジャーリーグ、パドレスのダルビッシュ有投手が日米通算200勝の金字塔を打ち立てた。
日本時間20日、アトランタで行われたブレーブス戦に先発すると7回を被安打2、9奪三振の快投で今季4勝目。MLBでの勝利数を107勝とし、日本ハム時代の93勝と併せて200勝をマークした。日本人投手の日米通算200勝は野茂英雄(ドジャースなど)、黒田博樹(ヤンキースなど)に次いで3人目。ダルビッシュ自身は4月30日のレッズ戦から4連勝で、さらに25回連続無失点を継続中の快挙達成だった。
37歳、超ベテランの域に達しているのに、衰えるどころかその進化が止まらない。
MLB屈指の強打線、アクーニャJr.や、オズーナ、オルソンらの並みいるスラッガーをきりきり舞いさせていった。最速153キロのフォーシームから110キロほどのスローカーブまで8種類以上のボールを自在に操る投球術は誰も真似が出来ない。
加えて自らのピッチングだけでなく、相手打者の研究も怠らない。近年の「フライボール革命」では打者のバット軌道がアッパー気味に振って来るのが主流になると、誰よりも早く高めへのストレートを投げだした。ここにスライダーで横の変化をつけて、タテ割れのカーブを打者の手元で落とす。さらにカットボールやスプリットまで泣けられては、データ全盛のメジャーでもダルビッシュ攻略は難しい。
「まだ200勝の実感はないが、NHKさんが大谷君の中継をやめて放送してくれたので(達成できて)良かった」
日頃はドジャース・大谷翔平選手を中心に放送をしているNHKが、雨天中止に終わった前日から特別態勢でダルビッシュの登板を中継。期待に応える結果を茶目っ気たっぷりに語るところがダルビッシュらしかった。
2004年に日本ハムのドラフト1位で入団。い翌年の合同自主トレ中に未成年にもかかわらず喫煙騒動が持ち上がり無期限謹慎処分を受けている。いきなり「問題児」のレッテルを貼られたが、汚名はマウンドで晴らした。
入団1年目の5勝に次いで、2007年には15勝5敗で沢村賞を獲得。日ハム時代の7年で93勝38敗。11年オフにメジャー挑戦とレンジャーズ入りを表明する時には「もう国内では、強打者と対決して、ヒリヒリするような緊張感を味わえなくなった」と語ったとも伝えられる。
「プロに入った時に色々あって、それも含めて自分を支えてくれた方々に感謝を忘れずにやっていきたい」
現在、ダルビッシュの同僚としてロッカーも隣同士と言う松井裕樹投手は、その存在を問われると「父のよう」と答えている。かつての問題児は、今や兄貴的な存在を飛び越して、威厳のある父親に昇華している。
◆ MLBで最多勝も最多奪三振のタイトルも獲得しているダルビッシュの次の目標は?
昨年、パドレスはダルビッシュと異例の6年契約を結んでいる。総額1億800万ドル(当時のレートで約141億4800万円)は42歳までの現役生活を保障するもの。いかに同球団がダルビッシュを高く評価しているかがわかるだろう。
37歳の今も圧倒的な投球を続けるベテランエースに対してパ軍のマイク・シルト監督は「まるで外科医のように相手をなぎ倒していた」と評している。寸分の狂いもなく、手術を成し遂げる敏腕医師をイメージしたのだろう。
先発、中継ぎ、抑えと分業化が進み、球数制限もある近代野球では200勝投手は誕生しにくいと言われる。また、達成する頃には現役生活の晩年を迎え、ようやくたどり着くケースも少なくない。
だが、ダルビッシュの場合はまだまだ余力を感じる。本人も長持ちの秘訣に「栄養管理や健康維持」を挙げているが、投球術を含めた全ての面で手抜きのないプロフェッショナルだから、まだ「伸びしろ」があるのだろう。
「どうやったら、もっとうまくなれるのか?」ダルビッシュが常に追い求める野球の原点だ。
MLBで最多勝も最多奪三振のタイトルも獲得しているダルビッシュの次の目標はあと25個と迫っているメジャー2000奪三振か?それとも現在継続中の25イニング連続無失点の記録更新か?
WBCで日本投手陣をまとめ上げた包容力と指導力で“ダルビッシュ信者”は急増したと言う。そこにメジャーでも圧倒的な存在感を発揮する。
この老雄、まだまだ進化を続けそうだ。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
2024年05月20日 18:22
大谷翔平は移籍後初のサヨナラ打で派手なウォーターシャワーを浴びた
■ドジャース 3ー2 レッズ(日本時間20日・ロサンゼルス)
ドジャース・大谷翔平投手は19日(日本時間20日)、本拠地・レッズ戦に「2番・指名打者」で出場し、2-2の延長10回に移籍後初となるサヨナラ打を放った。
2024年05月20日 17:57
サヨナラ打の大谷「単打でいいのでなんとかヒットで終わらせたいなと」
■ドジャース 3ー2 レッズ(日本時間20日・ロサンゼルス)
ドジャース・大谷翔平投手は19日(日本時間20日)、本拠地・レッズ戦に「2番・指名打者」で出場し、延長10回に移籍後初となるサヨナラ打を放った。大谷が試合後に「単打でいいのでなんとかヒットで終わらせたいなと」と“謙虚”に語ったことに、米メディアは「この男はスーパースターを体現している」などと感激していた。
米メディア「ドジャース・ネーション」は公式X(旧ツイッター)に大谷のサヨナラ打の動画を投稿。「たった今4シーズンぶりのサヨナラ打を打ったショウヘイ・オオタニは、延長まで残ってくれたドジャースタジアムにいる全てのファンに感謝を伝えた」と記載。
さらに「この男はスーパースターを体現している。ドジャースが彼に支払おうと考えた全ての価値に見合うものがある。私たちは孫に彼のことを伝える」と感激した様子だった。
この投稿にファンは「最高。ミスター笑顔がチームを救った」「グッジョブ」「ビースト」などと反応。日本語でも「私にとっては太陽のような人だ」「トリハダ」「泣ける」とのコメントが寄せられていた。(Full-Count編集部)
2024年05月20日 17:34
マット・ライナート氏が大谷と握手
大谷翔平投手は、他競技のスターも夢中にさせる。17日(日本時間18日)の試合で始球式に登場したマット・ライナート氏は、X(旧ツイッター)にベンチ裏で大谷に握手を求められる動画を公開。「私がスターに夢中になることは少ない」と、“虜”になったことを報告した。
始球式に登場する前、捕手のプロテクターをつけたライナート氏がベンチ裏に立っていると、大谷が挨拶に訪れ、握手を交わした。始球式では捕手役を務め、元NFL選手のレジー・ブッシュ氏のボールを受け取った。
カレッジフットボールのスターだったライナート氏。大谷から握手を求められたのは驚きだったようで、動画には「ショウヘイ・オオタニが握手するけど、誰としているのか分かっていないとき」と自虐交じりの字幕が付けられていた。
野球ではない他競技の選手に挨拶した大谷。ファンからは「オオタニはピアッツァの従弟だと思っているだろう」「マイク・ピアッツァと勘違いした」「陽気な投稿」「翔平くんはこの人誰だか知ってるのかな?」と、ライナート氏を別人と勘違いしているのではないかというコメントも寄せられていた。(Full-Count編集部)
2024年05月20日 17:30
◆ 未完の大砲として期待されたが…
首位・阪神から最下位・中日まで全6チームが5ゲーム差以内にひしめき合う大混戦となっている今季のセ・リーグ。先週末、巨人を相手に3連勝を飾り、2位に浮上したのが広島だ。
3連勝を決めた19日の試合は初回からカープ打線が爆発。9―3で快勝したが、勝利の立役者としてお立ち台に上ったのが3年目の末包昇大だった。
末包は初回の1打席目、巨人の先発・高橋礼から逆転のスリーランを放つと、続く2〜3打席目にも安打を放ち、3安打の猛打賞。4打席目は凡退したが、今季打率を.370まで引き上げることに成功した。
試合中盤にも隙のない攻撃で小刻みに加点したカープ打線だったが、その中で末包に次いでチームに貢献したのは、この日8番ファーストで先発出場した林晃汰である。
以前から4学年上の末包をライバル視しているという左打ちの未完の大砲がブレイクしたのは、プロ入り3年目の2021年。その年、林は102試合に出場し、打率.266、10本塁打、40打点の好成績でレギュラーの座をつかんだ、と思われた。
しかし、翌年の22年はオープン戦から極度の不振に陥ると、二軍でも自慢の長打力は影を潜め、その年はまさかの一軍出場ゼロに終わった。
奮起を期した23年は5月に一軍昇格。2年ぶりとなる本塁打を放つなど復調の兆しを見せたものの、6月に登録を抹消されると、その後は二軍で汗を流す日々を送りそのまま閉幕を迎えた。
◆ ライバル末包に少しでも近づくために
改めて巻き返しを誓った今季もオープン戦で打率.143(21打数3安打)と結果を残せず。二軍でも28試合に出場して、打率.240、1本塁打……。決して一軍から声が掛かるような成績ではなかった。それでも先週の14日に一軍に招集されると、即6番ファーストで先発起用されたのだ。
ところが林は約11か月ぶりとなった一軍の試合で2打数ノーヒット。左腕がマウンドに登った3打席目には代打を送られた。
翌15日にもスタメンで起用された林は1打席目に二塁打を放ち、新井貴浩監督の期待に応えた。しかし、その後は18日に行われた巨人戦の1打席目まで7打席連続で凡退。同日の2打席目に二塁打を放ったものの、この時点で打率は.182(11打数2安打)だった。
そして迎えた19日の巨人との3連戦最終戦は、前日に続き8番ファーストでスタメンに名を連ねた。この試合で結果が出なければ、二軍行きを言い渡されてもおかしくない局面だった。
“首の皮一枚”繋がった状態の林はここで意地を見せる。1打席目こそ右飛に打ち取られたが、2打席に貴重な適時打を放ち、2年ぶりの打点をマークすると、3打席目もライトへの安打で出塁。4打席目は見逃し三振に終わったが、この日4打数2安打1打点の活躍で、打率を.267へと引き上げた。
一軍昇格後は全5試合でスタメン起用されているように、新井監督の期待は決して小さくない。20歳のシーズンに一軍で10本塁打を放ったポテンシャルは間違いなくホンモノ。ライバルの末包に少しでも近づくため、1打席1打席を大事に昨季逃した一軍定着を果たしたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)