2024年03月29日 21:21
「ヤクルト7−4中日」(29日、神宮球場) 中日がまさかのワンプレーからピンチを広げ、逆転を許した。九回の反撃も及ばず、痛い逆転負けだ。 1点リードの八回、先頭の村上が高々と遊飛を打ち上げた。遊撃・ロドリゲスが落下点に入ったかと思われたが、ボールを見失ったのか、横にポトリと弾んだ。グラブにも触れていなかったが記録は失策。1死走者なしが無死二塁となると、四球で一、二塁と変わり、サンタナに同点タイムリーを浴び、暴投で勝ち越し点を与えた。さらに代打・西田の犠飛、青木のタイムリーで突き放された。 打線は初回に高橋周のタイムリーで先制すると、五回には中田翔が左翼へ一時勝ち越しとなる1号ソロを放った。同点の七回には再び高橋周が勝ち越しの適時打を放ち、一塁塁上で満面の笑みを浮かべた。 昨季、高橋周は打撃不振により1軍の戦力になれなかった。ばん回を期す今季はオープン戦で結果を残し、開幕スタメンの座をつかんだ。勢いそのままに開幕戦でも価値ある2打点をマークした高橋周。中田翔とともに、2024年の新たな力が打線に好循環を生み出した。 投げては先発の柳が六回途中2失点でゲームを作ると、後を受けた2番手の勝野も1死満塁のピンチをしのいだ。勝ち試合へ流れは向かっていたが、まさかのミスで逆転を許す形となった。 九回に無死満塁の好機を作るも、中田翔が左中間へ放った打球はヤクルト・西川のファインプレーに阻まれた。結果的に守備が明暗を分ける形となり、痛い一敗を喫した。
2024年04月29日 06:00
「阪神4−3ヤクルト」(28日、甲子園球場)
阪神がヤクルトに連勝し、今季最多の貯金5とした。今季初スタメンの糸原健斗内野手が二回に中前へ先制適時打。四回、八回にも左前打を放つなど、猛打賞の活躍で勝利に貢献した。デイリースポーツ評論家の糸井嘉男氏は「準備のたまもの」と称賛した。
◇ ◇
すごい勝ち方をした中でケント(糸原)の存在感が光りましたね!代打でもスタメンでも結果を出してくれます。二回は先制のチャンスで中前適時打。外角低めに沈んでいく難しい球でしたが、ケントらしい、しぶとい打球でした。四回、八回は走者を出したい場面で左前打。いずれも状況に応じた、ベンチが求める打撃ができています。もともと技術がある選手ですし、日頃からの準備のたまものだと思います。チームも勝って価値ある3安打になりましたね。
前日は木浪選手に代わってスタメンで出場した小幡選手が結果を残しています。ベンチにはメラメラ燃えている選手が控えていますし、日替わりヒーローが出るとチームは盛り上がる。打線全体はまだまだいい状態とは言えません。その中でも勝っている。選手の力はもちろん、岡田監督をはじめ、首脳陣のマネジメント力も見逃せません。
ケントの活躍にスタメンを外れたテル(佐藤輝)も刺激を受けているはずです。今後どういう行動に移していくか自分自身で決めなければなりません。昨年も悔しい思いをして乗り越えた経験があります。今回もいいように捉えて切り替えてやってほしいと思います。
2024年04月29日 06:00
巨人6―2DeNA(セ・リーグ=28日)――巨人は六回に丸、佐々木俊輔(日立製作所)の連続二塁打で勝ち越し、八回に吉川の適時打などで加点した。
堀田は2年ぶり白星。DeNAは3安打に終わった。
快音から遠ざかっていた巨人の丸が、今季初めて1番で先発起用されて息を吹き返した。「僕をチームの歯車の一つとして考えてくれている。何とか応えたい」。シーズンMVP2度の実力者は意気に感じ、燃えていた。
先頭で迎えた三回、大貫の初球を積極的にスイングし、右前にはじき返した。28打席ぶりの安打が出て「つきものが取れた」。四回二死二塁に再び初球を捉えて中前へ先制打を放つと、同点の六回には右中間を破る勝ち越しの適時二塁打を放った。八回には犠飛でダメ押し点を挙げ、3安打3打点。前日まで球団ワースト記録の13試合連続3得点以下と貧打にあえいでいたチームを勢いに乗せた。
安打がなかった直近の出場7試合で計7四球(故意四球含む)を選び、試合前時点の出塁率は3割2分9厘。1番起用を提案した二岡ヘッド兼打撃チーフコーチは「何とか塁に出てくれればというのはあった」と信頼して送り出した。
米大リーグ・カブスの鈴木誠也はオフのトークイベントで、広島で同僚だった丸を「一喜一憂しない神」と評した。若手時代は結果が出ないと感情的になっていたという鈴木に対し、丸は「調子が悪くてアウトになるのは仕方ない。どうやってアウトになるのかを考えて打っていると、調子が戻ることもある」と心の持ちようを披露していた。
普段はひょうひょうとしている丸。試合後には「なかなかうまくいかないので苦しかった」と吐露したが、打席では「強く振れる球が来たら行こう」と積極的に仕掛けていった。感情の浮き沈みと向き合いながら、きっちり仕事は果たす。経験豊富なベテランは、やはり頼りになる。(井上雄太)
巨人・阿部監督「(堀田が好救援し)もう、あれに尽きると思う。(1番で起用した丸は)いい働きをしてくれた。出塁率は良く、経験もたくさんあるので託した。(12安打で6得点に)いい形で追加点が取れていったので良かった」
2024年04月29日 05:54
26歳のクリストファクが昇格
エンゼルスは28日(日本時間29日)、ジミー・ハーゲット投手をDFA(事実上の戦力外)とし、ザック・クリストファク投手をメジャー昇格させたと発表した。
30歳のハーゲットは2021年途中にエンゼルスに加入。特徴的なサイドスローで、2022年には49試合に登板して防御率2.48、WHIP0.91の好成績を残した。
昨季は29試合で防御率4.66。今季は開幕をマイナーで迎え、メジャーでの登板はゼロだった。ここまでメジャー通算121試合に登板し、成績は7勝8敗、防御率3.47となっている。
エンゼルスは27日(同28日)のツインズ戦に5-16と大敗して3連敗。直近9試合で8敗と苦しんでいる。(Full-Count編集部)
2024年04月29日 05:31
◆ 上沢直之がメジャー初昇格
現地時間28日、ボストン・レッドソックスが上沢直之投手(30)のメジャー昇格を発表。
2024年04月29日 05:28
一発出れば逆転となる場面…ボール球を打って凡退
■ブルージェイズ 3ー1 ドジャース(日本時間29日・トロント)
ドジャースの大谷翔平投手は28日(日本時間29日)、敵地で行われたブルージェイズ戦に「2番・指名打者」で出場。得点圏で凡退するなど、4打数無安打だった。チームは1-3で敗れ、連勝が6で止まった。デーブ・ロバーツ監督は、8回の凡退について「少し高めのボールだったと思う。彼だったら持っていける球だったと思った」と話した。
連日の大ブーイングの中、ブルージェイズの先発・ガウスマンと対戦。初回の第1打席では中堅後方へ強烈な打球を放つも、中堅・バーショの好守に阻まれた。飛距離は402フィート(約122.5メートル)で、MLBの公式データサイト「Baseball Savant」によると、本拠地ドジャースタジアムなら本塁打となっていた打球だった。
4回先頭の第2打席では詰まって二直、6回の第3打席では見逃し三振。2点ビハインドの8回には無死二、三塁と一発逆転の場面で第4打席が回ってきたが、初球はボール気味のフォーシームを打ってファウルとすると、2球目の高めのボール球を打って二飛に倒れた。
大谷がボールゾーンに手を出してしまうことは、指揮官がたびたび指摘していたポイントだ。今回は「彼だったら持っていける球だったと思った」とかばいながらも、「(結果的に)彼はミスをしてしまったということだ。それも、野球(の一部)だ」と話すにとどめた。これで3試合ぶりの無安打となり、打率.336、OPS1.038となった。得点圏打率は34打数6安打で.176となった。(Full-Count編集部)
2024年04月29日 05:19
○ ブルージェイズ 3−1 ドジャース ●
<現地時間4月28日 ロジャース・センター>
トロント・ブルージェイズが接戦逃げ切り、連敗ストップ。昨季のアメリカン・リーグ奪三振王、ケビン・ガウスマン投手(33)が今季1勝目を挙げた。
ブルージェイズは2回裏、ジャスティン・ターナーとデービス・シュナイダーの連打で無死二、三塁の好機を作ると、2本の内野ゴロの間に2点を先制。さらに二死走者無しとなった後、女房役アレハンドロ・カークの1号ソロで追加点。連敗中は全試合で2得点以下と苦しんでいた打線が3点を奪った。
先発したガウスマンは今季最長7回を投げて5安打、5奪三振、失点はソロ本塁打の1点のみ。スプリングトレーニング中の負傷により調整が遅れていたが、今季6戦目でようやく1勝目を手にした。
8回表には一死満塁、絶体絶命のピンチを背負ったが、イミ・ガルシアとティム・メイザが踏ん張って無失点。最終回は守護神ジョーダン・ロマノが締め、今季4セーブ目をマーク。チームは連敗を5でストップし、スイープを回避した。
2024年04月29日 05:05
◆ 大谷翔平は3試合ぶりノーヒット
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(29)が現地時間28日のブルージェイズ戦に「2番・指名打者」でフル出場。4打数無安打に終わった。
ブルージェイズ先発は昨季12勝の右腕ガウスマン。初回の第1打席は、フルカウントから真ん中低めのスプリットを捉えて中堅フェンス際へ飛ばすも、中堅手バーショの好守に阻まれ、中飛となった。
3点ビハインドの4回表、先頭打者として迎えた第2打席は、内角のフォーシームに初球打ちを試みるも、詰まった打球の二直に打ち取られた。
6回表の第3打席は、カウント2-2から内角低めゾーンいっぱいへのフォーシームに見逃し三振を喫した。
2点を追う8回表には無死二、三塁の好機で2番手右腕ガルシアと対戦。カウント0-1から内角高めボールゾーンのフォーシームに手を出し、二飛で凡退。後続も倒れ、チームは同点機を逸した。
この試合の大谷は4打数無安打、1三振という内容。今季成績は打率.336、OPS1.038へ低下した。
2024年04月29日 05:03
2点を追う8回無死二、三塁では二飛に倒れる
■ブルージェイズ 3ー1 ドジャース(日本時間29日・トロント)
ドジャースの大谷翔平投手は28日(日本時間29日)、敵地で行われたブルージェイズ戦に「2番・指名打者」で出場し4打数無安打だった。
2024年04月29日 05:01
「阪神4−3ヤクルト」(28日、甲子園球場)
阪神がヤクルトに連勝し、今季最多の貯金5とした。ベンチスタートとなった佐藤輝に代わって「6番・三塁」で糸原がスタメン出場。糸原は二回に中前へ先制適時打を放つなど、3安打の猛打賞と大暴れだった。以下、岡田彰布監督との一問一答。
◇ ◇
(テレビインタビュー)
−こんなことがあるのかという逆転のシーン。
「ねえ。外野が深いなあとは思ってたんですけどね。(大山が)打った瞬間はちょっと諦めましたけどね」
−逆転を呼び寄せたのは加治屋の力投。
「加治屋が一番投げてなくて元気だったので。だから2イニングね、全然問題なしに送り出せましたけど」
−佐藤輝はベンチスタートだった。
「いやいや、最近の内容を見ていてね、いついこか、という感じだったんですけど。昨日の内容を見ても、いっぺん糸原でいこうというのはあったんですけどね」
−本人にどうはい上がってきてほしいか。
「はい上がるって、ゲームでも打つことですよ。簡単ですよ。ボールを振らないで、ストライクを打ってくれたらいいと思いますけどね」
(ペン囲み)
−接戦をものにする試合が多い。
「やっぱりリリーフ陣やで。そらそうやろ。点数が僅差になるからな、あの2人(岩崎、ゲラ)がフル回転になってしまうけど。もうちょっと点取ったらな、あの2人休ませられるからな」
−2戦目、3戦目は守備もバントもしっかり。
「いや、もうおととい(1試合4失策)はおかしかったやろ。1年に何回かあんなんあるよ。普通にな、ちゃんとアウトにするとか、ストライクをバントでちゃんとやるっていう、そういうことを繰り返していけばいいだけの話や、それは」
2024年04月29日 05:01
「阪神4−3ヤクルト」(28日、甲子園球場)
しぶとく、がむしゃらに食らいつく。阪神・糸原健斗内野手が生きざまを示した。打って、走って、生き生きとグラウンドを駆け回る。「必死ですよ。必死にやりました」。佐藤輝に代わり、今季初スタメンで2年ぶりの猛打賞。代役ではない。日頃の準備が好結果となり、勝利へ導いた。
両軍無得点の二回無死一、三塁。追い込まれながら、小沢の低めフォークを最後は右手一本で振り払った。中前への先制適時打。雄たけびを上げながら走り出し、一塁ベンチへ右拳を突き上げた。佐藤輝も拍手。一気にボルテージが上がった。
これだけでは終わらない。「乗っていけた部分もある」と四回1死では左前打。「代打の気持ちで、1打席しかないぐらいの気持ちで4打席に立った」。八回無死でも左前打。22年9月13日の広島戦(甲子園)以来、593日ぶりの3安打を記録した。
「準備をしていたんじゃないですかね」とは岡田監督。その通りだった。春季キャンプでも起床時間から練習前後のメニュー、就寝時間までルーティン化。シーズンでも早い球場入りで体を動かしている。この日の先発起用にも「準備してるんで」と即答。焦りも、戸惑いも一切なかった。
近年は代打が主戦場。それでも、ベンチでは誰よりも声を出す。自身初の2軍キャンプでも若手を引っ張った。「声のバリエーションが多い。勉強になります」と高寺。熊谷は糸原を見習って、1軍キャンプを盛り上げた。チームに欠かせない存在。全てが手本になっている。
31歳。まだまだ元気いっぱいだ。「超満員の甲子園で守備に就いて、4打席立って、結果も出た。すごい良かったなと思います」。グラウンドでもベンチでも、糸原がいれば頼もしい。
2024年04月29日 05:01
「阪神4−3ヤクルト」(28日、甲子園球場)
勝機をたぐり寄せたのは右腕の快投だった。1点を追う六回から登板した阪神・加治屋蓮投手が2回無失点。チームが七回に逆転し、今季2勝目を挙げた。
1点差に迫った直後のマウンドを託された。「何としてでもゼロでつないでいく。それしか考えてなかった」と一心不乱に腕を振った。先頭の中村を1球で中飛に打ち取るなど、わずか8球で三者凡退に仕留め「あそこで相手の流れを止められたかな」とうなずいた。
今季初のイニングまたぎとなった七回は先頭の丸山和に四球を与え、相手主軸を迎えたが、動じることはなかった。オスナを一邪飛。村上の打席で二盗を試みた丸山和を梅野が刺すと、最後は村上を二ゴロに封じた。
今季初勝利となった18日・巨人戦(甲子園)以来10日ぶりのマウンドだった。「もどかしさもありました」と振り返ったが、集中力を切らさず準備を続けてきた。勝ちパターンだけがブルペン陣の役割ではない。救援防御率1・13は断トツでリーグトップ。岡田監督も「負けている時のピッチャーがピシャッと抑えてくれるからな。そら攻撃に入りやすいよな。流れが良うなってくるよな」と高い貢献度を認めた。
この日は「ホームには毎試合呼んでいる」という自身の子どもたちの前でお立ち台に上がった。「こういうタイミングでヒーローになることができて良かった」。“イクメン”右腕の優しい笑みがはじけた。
2024年04月29日 05:01
「ウエスタン、ソフトバンク8−5阪神」(28日、タマホームスタジアム筑後)
前日の反省を結果につなげた。
2024年04月29日 05:01
「DeNA2−6巨人」(28日、横浜スタジアム)
巨人はメスを入れた打線が機能した。14試合ぶりの4得点以上となる6点をもぎ取り連勝。球団ワースト記録を更新していた不名誉な3得点以下の連続試合を、13でストップさせた。
打線を大幅に組み替えた中、起爆剤になったのは今季初めて1番に座った丸佳浩外野手だ。「切り込み隊長なんで。チームに勢いを与えられたら」。その言葉通り四回2死二塁から中前に先制打、六回2死二塁では右中間に適時二塁打を放った。不振にあえいだことを「悔しいですし。苦しかった」と話したが、打順の変更もあってギアを上げ、8試合ぶりの安打を含む猛打賞、3打点と復活の兆しを見せた。
丸の1番について阿部監督は「(二岡)ヘッドコーチの提案があったので僕も同意して決めた」と明かし「いい働きをしてくれた」と絶賛。貧打解消に向けて動いた指揮官は「いい形で追加点が取れていったので良かった」と何度もうなずいた。チームは2カード連続勝ち越しで、首位・阪神との1ゲーム差をキープ。上昇気流に乗り、追走していく。
2024年04月29日 05:01
「阪神4−3ヤクルト」(28日、甲子園球場)
大歓声の中、笑顔で岩崎に歩み寄った。今季初のマルチ安打に、バズーカもさく裂。連勝に貢献した阪神・梅野隆太郎捕手は、ほっとした表情で振り返った。
「追い付いたり逆転したりする試合が最近続いているんで。いい勝ち方をしているし、なんとかチームが勝てたことが一番良かった」
四回1死一塁は小沢の外角直球を左翼線へ運ぶ二塁打。六回2死は木沢の内角シュートを左前へ運んだ。23年8月3日・中日戦(バンテリン)以来269日ぶりで、同13日・ヤクルト戦の死球で左尺骨を折って以降初のマルチ安打となった。
ただ、意識は打撃よりも守備に向いていた。「自分が打つ打たないより、勝つためにどうしていくか。そっちの方が強かった」。先発の才木は5回3失点で勝ち投手に導けなかったが、六回以降は3投手をリードして1安打しか許さなかった。
七回1死一塁では丸山和の二盗を阻止。125キロの変化球だったが、捕球後の素早い動作と二塁へのストライク送球で俊足を封じた。「ベストボールを投げられたので良かった」。今季2度目の盗塁阻止で、回またぎの加治屋を後押しした。
守備で踏ん張った結果が、価値ある逆転勝利へつながった。「粘るっていうことを開幕からできているから、今の位置(順位)にいると思うので。続けていけたら」。心地よい疲労感の中、梅野の声が弾んだ。
2024年04月29日 05:01
「阪神4−3ヤクルト」(28日、甲子園球場)
ラッキーセブンに吹いた“神風”が猛虎の背中を押した。1点を追った七回2死一、二塁。阪神・大山悠輔内野手(29)が放った飛球が浜風に揺られて宙を舞うと、ヤクルト・サンタナのグラブから逃げるように芝生に弾んだ。連勝を呼び込む逆転の2点適時打となり、貯金は今季最多の「5」。たくさんの子どもたちが詰めかけた甲子園で、最高の結末を導いた。
勝利への執念が白球に乗り移った。浜風が神風と化す。舞い上がった飛球は外野芝生にポトリ。虎党のため息が一瞬にして大歓声へと変わる。大山が逆転の2点適時打で連勝に導いた。
「本当に浜風が味方してくれたのでよかった」
1点を追う七回だ。2死から中野と森下の連打で一、二塁となった好機で打席へ。ヤクルト・大西の2球目のスライダーを捉えると、左方向への高い飛球に。スコアボードの上にある球団旗は右から左へなびき、落下地点は左翼の定位置よりも少し手前かと思われた。
だが、甲子園上空には特有の風が吹いていた。遊撃・長岡は早々に追うのをやめ、左翼・サンタナに任せたが、飛球は流されるのではなく、どんどん本塁側に押し戻されて遊撃後方に落ちる。その間に二走・中野に続いて一走・森下も生還し、試合をひっくり返した。
聖地の風にも助けられ、超満員のスタンドを沸かせた一打。「これが野球なんだなって改めて思いましたし、何があるか分からない。改めて怖さというのを知った。守備側になったら、そういうこともあるというのも一つ分かったので。勝ってそういうことを気付けたっていうのは、すごいいいことだと思います」と結果に満足せず、冷静に状況と向き合った。
諦めない姿勢、勝利への強い意思が勝機を高めているのは違いない。目の前の一戦に、その日の全力を注ぐ主砲。パワーを蓄えるために、自宅で愛猫に癒やされ、愛妻が作る料理で体調万全だ。「みそ汁を毎日作ってくれるんですけど、飽きることが一切ないです。逆にもうないの?みたいな。きのこ類とか入れてもらってますね。本当に毎日出てきても飽きることないんで」と感謝する。
チーム全員が一つになり、つかんだ勝利。貯金は今季最多の5となり、首位を死守し、5カード連続で負け越しなしとなった。「全員が勝ちに向かっている成果だと思います。ベンチでいつも糸原さんだったり、原口さんが率先して盛り上げてくれる。そういう方たちに負けないようにやっていきたい。もっともっと一丸となって。試合に入れるように、そして勝てるようにやっていきたい」と大山。歓喜の瞬間まで、団結した猛虎が進撃を見せる。